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長瀞へのアクセス2:関越自動車道から長瀞へ

高速道路利用・自動車での長瀞へのアクセス

 長瀞は山に囲まれた地域です。全国各地から長瀞への車を使っての旅行を考えた場合、ルートは限られています。日程に余裕があり、高速道路を使わず一般道路を使ってゆっくりと車の旅を楽しみたい、というような場合には一般道を利用して様々なバリエーションがあるのはもちろんです。ただ多くの人にとっては、旅行に使える時間は限られており、移動に使う時間は節約せざるを得なくなります。特に移動距離の長い自動車旅行については、ほとんどの人が高速道路を利用しているというのが実情です。

 長瀞エリアあるいは秩父エリアに短時間でアクセスできる高速道路は現在のところ関越自動車道しかありません。関越自動車道の花園インターチェンジが長瀞エリア、秩父エリアへの最も近いインターチェンジです。

 東京方面から来る場合、東京外環自動車道経由で大泉ジャンクションから関越自動車道を北上するというのが唯一といってよいルートです。他地方から来る場合は、圏央道や北関東自動車道の開通によって、東京を経由せずとも、容易に関越自動車道にアクセスすることができるようになりました。それまでは、首都高速道路の複雑な路線を経由しなければならない場合も多く、それも埼玉県への旅行を遠ざける原因の一つでした。

 首都高と略される首都高速道路は非常に複雑な高速道路網です。慣れない人にとってはかなりのストレスになります。たとえカーナビで目的地をセットしていたとしても、次々にジャンクションやインターチェンジが右に左に出現し、そのたびに車線変更に迫られます。交通量も多く、その車線変更も容易ではありません。

 羽田空港で直接レンタカーを借りての埼玉旅行をあまり推奨しない理由は、首都高を経由しなければならないのが最も大きな要因です。公共交通機関などで、いったん大宮・池袋などに出てそれからレンタカーを借りるか、他のページでも紹介しましたが、外環自動車道のインターチェンジのある和光市などからレンタカーを借りた方が運転上のストレスは格段に減ると思います。ただ、空港から荷物を直接トランクに積むことができる空港レンタカーの魅力も相当なものですので、それは悩みどころになると思います。しかし今回の想定は、飛行機を使うことがない自動車での埼玉旅行です。

 西日本あるいは中部・北陸・甲信越・東北・北関東から自動車での埼玉旅行は、圏央道と北関東自動車道の開通によって首都高を全く使わなくてもできるようになったということです。実際の移動時については便利になった反面、旅行の計画段階ではルートの選択肢が増え、難しくなったということもできます。後半では各方面からの関越自動車道へのアクセスについても取り扱っていきたいと思います。その前に、すべての旅行ルートが集結する関越自動車道から長瀞へのアクセスを見ていきましょう。

関越自動車道から花園インターチェンジへ

 前節で述べたとおり、どの方面から向かうにせよ、長瀞へ最短時間で行くためには、関越自動車道を花園インターチェンジで降りる必要があります。花園インターチェンジを降りるとすぐ国道140号線に交差します。国道140号線を西へ向かうと、そのまま長瀞の中心部まで行くことができます。国道140号線は途中バイパスがあるため補足が必要ですが、それについては次節で説明し、当節では140号線に出るまでということにします。

 関越自動車道とは、新潟県の長岡ジャンクションから東京都練馬区の練馬インターチェンジまでの高速道路のことで、新潟・群馬・埼玉・東京の4都県を結ぶ全長250kmの幹線道路です。

上の地図の通り関越自動車道は、ほぼ南北に通っています。花園インターチェンジは、南端の練馬インターチェンジから約56㎞北上した場所にあり、練馬インターチェンジから花園インターチェンジまでは通常時で1時間程度で到着します。各高速道路のジャンクションとの位置関係は北から以下の通りになります。

関越自動車道の各ジャンクションから花園インターチェンジまでの距離

  1. 長岡ジャンクション(北陸自動車道―新潟方面)190km
  2. 高崎ジャンクション(北関東自動車道―北関東・東北方面)28.5km
  3. 藤岡ジャンクション(上信越自動車道―長野方面)22km
  4. 花園インターチェンジ
  5. 鶴ヶ島ジャンクション(圏央道―主要高速各方面)28km
  6. 大泉ジャンクション(外環自動車道―首都圏方面)55km

 上記のリストを見ていただけるとお分かりのとおり、両端の2つのジャンクションを除く3つのジャンクションから花園インターチェンジまでの距離はいずれも20km台です。すなわち遠方からの車の旅も、関越自動車道に乗り入れた時点で終盤に差し掛かっていることを意味します。あとは油断せず花園インターチェンジの出口を乗り過ごさないように注意してください。

 上記の1.長岡・2.高崎・3.藤岡の各ジャンクションから花園インターチェンジまでは東京に向けて南下する上り路線です。6.大泉・5.鶴ヶ島の各ジャンクションから花園インターチェンジは北上する下り路線です。いずれも進行方向の左側が出口になりますので、花園インターチェンジに近づいたら左車線を走行してください。

花園インターチェンジ出口

花園インターチェンジ出口
図1:花園インターチェンジ出口 (出典:国土地理院・編集:Snowstage)

出口については図で紹介します。大泉ジャンクションや鶴ヶ島ジャンクションなどから下り路線で来た場合は赤い矢印です。長岡ジャンクションや、高崎ジャンクション、藤岡ジャンクションなど上り路線で来た場合は黄色い矢印です。両路線は花園インターチェンジの料金所手前で合流します。料金所を出たらそのまま道なりに進めば国道140号線に合流し、長瀞・秩父方面に向かいます。ここから長瀞旅行の中心地となる長瀞駅前交差点までは約17㎞、30分程です。

花園インターチェンジから長瀞への2つのルート

 花園インターチェンジを降りた後は国道140号線を進み長瀞に向かうことになりますが、国道140号線は途中で2つに分かれます。

図2 花園インターチェンジから長瀞駅前交差点への2つのルート(出典:国土地理院・編集:Snowstage)

 上記航空写真の上を通る赤いラインが花園インターチェンジから長瀞へ向かう通常のルートで、国道140号線の本線を辿ります。その下の青のラインは皆野寄居バイパスを使ったルートで、水色の楕円で網掛けの部分は皆野寄居バイパスの有料道路になります。長瀞駅前付近が目的地の場合は、所要時間・距離ともにほとんど変わらず、使う意味はあまりありません。花園インターチェンジから長瀞駅前交差点までの距離は、赤ルート、青ルートのいずれも約17km程度です。通常時であれば30分程度と考えて良いでしょう。目的地が長瀞駅前以南の皆野町や秩父方面まで行く場合は、皆野寄居バイパスの方が若干近道になりますので、利用する機会も出てくると思います。まず先に皆野寄居バイパスの方を、次節で簡単に紹介します。

皆野寄居バイパス(有料道路)を利用した長瀞への行き方

 もともと皆野寄居バイパスは、国道140号線の渋滞緩和を目的とした道路です。土日祝日の夕方など国道140号線の渋滞がひどい場合は、利用を検討してみる価値はあります。皆野寄居バイパスは寄居・皆野間を通常時でも平均15分程度の時間短縮ができると言われています。秩父などの皆野以遠に行く場合は、時間・距離ともに短縮できますし、高速道路ではないものの、自動車専用道路ですので、走りやすいのは間違いないでしょう。

 ただ長瀞を目的地とする場合は、北へ戻ることになります。例えば長瀞駅周辺が目的地の場合で、渋滞も無く普通に運転した場合、どちらの道を使っても距離・時間ともにほぼ同等です。目的地が皆野より北に離れれば離れる程、一般道を使った方が良いということになります。

 皆野寄居バイパスの最大のネックとなるのが、コースの大半がトンネルのため、景観が眺められないということです。長瀞旅行の場合、岩畳、宝登山といったいわゆる景勝地だけではなく、長瀞地域全体の景観も旅行の重要な要素です。できれば国道140号線の本線、つまり一般道の方を選択してもらいたいというのが私の本音です。しかし、スムーズに移動できる皆野寄居バイパスに魅力を感じる人も多いと思いますし、好みは人それぞれです。車が双方に分散することによって渋滞も緩和されますので、ここでは、どちらの道が良いということは言わないことにします。

 皆野寄居バイパスの有料道路区間の料金は普通車で片道430円です。現金の他、スイカ・パスモなどの交通系電子マネーが利用できます。

 花園インターチェンジから国道140号線に入ると片側2車線の直線的な道路が続きます。国道254号線との重複区間を超え1つめのJR八高線の陸橋のY字路は左の国道140号線側を選びます。次に秩父鉄道の陸橋を越えたあたりで、国道140号線と皆野寄居バイパス(有料道路)は車線が分かれます。皆野寄居バイパスは、ここから左にカーブしていくのですが、皆野寄居バイパス方面に行くには、右車線に入り陸橋を登ってから道なりに左にカーブしていくので注意が必要です。反対に一般道を行くためには左車線を進み、陸橋に上らず、陸橋の下を通る必要があります。行きたい方向の逆車線を走るということです。

 この陸橋のように見えた橋は、実は南へカーブを切りながら荒川を跨ぐ長大な橋です。この橋は玉淀ダムとそのダム湖、玉淀湖のすぐ下流にかかっており、橋の頂点で車を降りれば素晴らしい眺めなのでしょうが、残念ながら片側一車線の橋の上で車を止めるような場所はありません。さらに進むとトンネルを二つ抜けた所に寄居風布ICがあります。ここから下に降りた場合は、料金はかかりません。寄居風布ICを過ぎると、皆野まで出口は無くなります。皆野の二つのインターチェンジの手前に料金所があり、そこで料金を払うという仕組みです。この近すぎる寄居風布ICで降りるという選択肢はあり得ないと考える方も多いと思いますが、このインターチェンジの下に流れる風布川(ふうっぷがわ)周辺は風布(ふうっぷ)と呼ばれる寄居町を代表する観光地の一つで、すなわち長瀞旅行の観光地の一つと言い換えることもできます。風布観光については、いずれ別の記事で紹介したいと思います。

 寄居風布インターチェンジを過ぎると、すぐまたトンネルに入ります。このトンネルは非常に長く、皆野寄居バイパスの大部分を占めます。このトンネルの上には釜伏山(かまふせやま)があります。この釜伏山は、長瀞渓谷を挟み宝登山に対峙する標高582メートルの特徴的な山です。この山と長瀞の名山、宝登山との間には奇妙な関連性があります。このことについては、以下のページ「長瀞のロープウェイ」で書いていますので、ご興味があれば読んでみてください。

長瀞のロープウェイ

 釜伏山の下を通るトンネルからは、当然ながら釜伏山も宝登山も長瀞も見ることはできません。長いトンネルのドライブを終えるとすぐにパーキングエリアと料金所があります。そこは既に長瀞町を通り越して、秩父郡皆野町の住所になっています。そこから更に一つ短いトンネルを抜けたところに皆野長瀞インターチェンジがありますので、その出口から降りて下さい。長瀞駅方面に行くには、皆野長瀞インターチェンジ出口の十字路を左折し、県道348号線を前進します。そして国道140号線で右折です。そこからしばらく進むと右手に長瀞駅、左手に宝登山神社の鳥居が見えてくるでしょう。

国道140号線(一般道)を利用した長瀞への行き方(推奨)

 国道140号線(一般道)

 次は有料道路を使わない、国道140号線の一般道での行き方です。もう一度、花園インターチェンジ出口に戻ってもう少し詳しく説明します。長瀞駅前近辺に行く場合は、このルートが最も普通の行き方です。途中の長瀞観光地への立ち寄り、ルート上の景観を含め、当サイトとしてはこのルートの利用を推奨します。もちろん道路の渋滞状況などにより、皆野寄居バイパスを使ったほうが時間的に早くなる場合もありますが、この国道140号線一般道ルートの場合、平行する別の道路に移動し渋滞を回避できる場合もあります。

 説明の都合上、スタート地点の花園インターチェンジとゴール地点の長瀞駅前交差点の他に6つのチェックポイントを先に設定させていただきます。

図3:花園ICから長瀞駅前交差点(国道140号線)(出典:国土地理院・編集:Snowstage)

 花園インターチェンジを出て国道140号線に入って一番最初の大きな交差点は県道296号線の交差点です。この交差点にはガソリンスタンドやマクドナルドなどがあります。この交差点を第1チェックポイントとしましょう。

 第2チェックポイントは国道254号線が左から合流する地点です。この辺りでは、国道140号線からは見えませんが、すぐ左側に荒川が流れており、玉淀大橋という大きな橋がかかっています。国道254号線とは池袋から川越に至る川越街道のことです。川越街道は川越市内を通過したのち、小川町などを経由して玉淀大橋を超えて第2チェックポイントから国道140号線と合流します。国道140号線と国道254号線の重複区間はわずか1km程です。この重複区間の終わるY字路を第3チェックポイントとします。

 第4チェックポイントは皆野寄居バイパスと車線が分離する地点です。花園インターから第4チェックポイントまでは片側2車線が続きますが、ここで車線が分離します。前項でもお伝えしましたが、左方向へ南下していく皆野寄居バイパスを行くには右車線、直進した後右方向へ北上してゆく国道140号線を行くには左車線という、左右反対の車線を選ばなければなりませんので注意が必要です。

 第4チェックポイントの皆野寄居バイパスと分離すると、国道140号線は片側1車線に変わります。西へ向かっていた国道140号線は徐々にカーブを描き、北上していきます。ここで左手から県道82号線が交わる「波久礼駅前」という信号機があります。目立った標識も無く、普通に走っていれば見落としてしまいそうな場所ですが、ここを第5チェックポイントとします。目印は、「焼肉たてがみ」という食堂です。この食堂は焼肉よりも、むしろ豚丼のおいしい店として有名です。県道82号線は一見すると片側1車線の普通の地方道路ですが、荒川をはさみ、国道140号線と並行して走る長瀞旅行にとっては重要な道です。国道140号線を長瀞旅行の第一ルート、皆野寄居バイパスを第二ルートとすると、この県道82号線は第三ルートに相当します。長瀞旅行の第三ルートのスタート地点が、第5チェックポイントとした波久礼駅前の交差点なのです。

 第5チェックポイントのすぐ先、国道140号線の右手には秩父鉄道「波久礼駅」があります。波久礼駅の住所は寄居町ですが、すぐその先からは長瀞町に住所が変わります。北上していた国道140号線は一旦西へ向かい、更に今度は南下していきます。秩父鉄道樋口駅を左手に通り過ぎ、しばらく進むと左右の山々開け住宅街が広がり、平坦地の割合が増えたことが感じられると思います。そこが秩父郡長瀞町としての中心街である野上という地域です。広い駐車場を持つセブンイレブンのある「中野上」交差点、ここを第6チェックポイントとします。

チェックポイント移動距離花園ICからの距離
スタート(花園IC)
第1(県道296)0.5km0.5km
第2(国道254合流点、玉淀大橋)2.6㎞3.1km
第3(国道254分岐点、Y字路)1.1㎞4.2km
第4(バイパスとの車線分離地点)2.3km6.5km
第5(県道82、寄居橋)2.3km8.8km
第6(県道13、県道287)6.5km15.3km
ゴール(長瀞駅前交差点)2.6km17.9km
表1:各チェックポイントの距離

しつこいようですが、各チェックポイントを更に詳しく見ていきます。

第1チェックポイント(花園ICすぐの交差点)

 何故、花園インターチェンジにすぐ近くの交差点を敢えて第1チェックポイントとしたかといいますと、別の記事で既に何度か取り上げている深谷テラスがあるからです。深谷テラスは花園インターチェンジの北東に位置します。その行き方まではここで案内しませんが、第1チェックポイントの交差点を右折し、その先で更に右折して到着することになります。また深谷テラスの隣には、2022年10月20日に開業した大型アウトレット、ふかや花園プレミアムアウトレットがあります。いずれも広い無料駐車場があり、新しい施設ですので、ぜひ訪れてほしい場所です。これらの施設の行政区分は埼玉県深谷市ですので、長瀞旅行とは言い難いかもしれませんが、当サイトでは長瀞エリアとして紹介しています。

深谷テラス:長瀞旅行の途中で寄れる観光地 深谷テラス 深谷テラス―長瀞旅行の寄り道に最適

 第1チェックポイントと第2チェックポイントの間には多くの飲食店などのロードサイド店があります。そして第1と第2の中間あたり、国道140号線の右側には「道の駅はなぞの」と「花園フォレスト」という2つの観光施設があります。

道の駅はなぞの

名称:道の駅はなぞの

住所:埼玉県深谷市小前田458-1

ショッピング・飲食の他、公園やドッグランが併設されているのが特徴の道の駅です。

花園フォレスト

名称:花園フォレスト

住所:埼玉県深谷市小前田417

駐車場:240台

ローズガーデンのあるスイーツのテーマパークです。自家製のバームクーヘンに定評があり、長瀞バスツアーなどでも立ち寄ることが多い施設です。

第2チェックポイント(玉淀大橋付近)

 第2チェックポイントは国道254号線との合流地点です。ここから先は行政区分も埼玉県大里郡寄居町になります。当サイトでいうところの長瀞エリアに完全に入ります。第2チェックポイントを左折するとすぐに玉淀大橋を渡ることになります。寄居には玉淀駅、玉淀ダム、玉淀河原など、広範囲にわたり玉淀とつく地名が存在します。玉淀とは寄居近辺の荒川とその両岸の名勝のことで、昭和初期の観光ブームの際に命名され、1935年には埼玉県指定の名勝となりました。1964年に玉淀ダムが作られたことにより、ダムの上流下流ともに水位が変動し、かつての景観は損なわれてしまったと言われています。しかし、それによって新たな玉淀の魅力も生まれたのも事実です。熊谷以南の荒川は完全に堤防や河川敷が整備され、これは荒川に限ったことではありませんが、平野部を流れる大河の景観はどこも似通ったものになっています。玉淀の両岸はまったくそのような人工的な景観ではなく、森林と奇岩に囲まれた自然の景観を保っています。玉淀大橋は歩いて渡ることもでき、高さ20m以上の大きな橋であるにもかかわらず、欄干は腰ぐらいの低さで、高いところが苦手の人にとっては恐怖感を覚えるほどです。その分展望は抜群で、玉淀を一望することができます。

 寄居町の中心は荒川の北にありますが、面積でいうと寄居町の大半は荒川の南側にあります。花園インターチェンジから寄居南部を目的地とした旅行する場合の多くが、第2チェックポイントから、玉淀大橋を渡ることになります。この玉淀大橋からすぐの場所に寄居で最も人気があるといっても良い旅行スポット、埼玉県立川の博物館があります。

埼玉県立 川の博物館

名称:埼玉県立 川の博物館

住所:埼玉県大里郡寄居町小園39

休館日:月曜日(祝日、夏休み期間等は営業)・年末年始

営業時間:9:00~17:00

入場料:大人410円、学生200円(中学生以下無料)

駐車場:普通車:300円

 この施設は普通の地方自治体の博物館ではなく、テーマパークと言ったほうが理解しやすいのかもしれません。まず目につくのが、直径24.2メートルの巨大水車と荒川の大模型です。いずれも日本一の大きさだそうです。博物館本館についても独創的です。吹き抜けの第一展示室はそれ自体がジオラマのようになっており、滝や川が流れ、水車小屋が動いています。荒川を船で下るという設定の3Dシアター(アドベンチャーシアター)は画面に合わせ座席が動くシステムです。荒川わくわくランドという水上アスレチックも子供たちに人気があります。

埼玉県立「川の博物館」

 長瀞方面に行く場合は第2チェックポイントは、そのまま通過し、国道140号線をまっすぐ進みます。第2チェックポイントを過ぎたすぐ先に、県道296号との分岐がありますが、県道296号は細い道ですので、間違う心配は少ないと思います。もし玉淀河原・雀宮公園・鉢形城などに行くのであれば、この296号線方面に行きます。

第3チェックポイント(国道254号線とのY字路)

 第2チェックポイントから合流した国道254号線と国道140号線の重複区間になります。第2チェックポイントから第3チェックポイントまでの重複区間はわずか1km程です。そして第3チェックポイントのY字路で、国道254号線と国道140号線は分離します。長瀞旅行を考えた場合、右の国道254号線に行くということはまずありえないと思います。Y字路のかなり手前から片側3車線の区間が長く続きますので、右側の車線には入らないようにしてください。

図4:第3チェックポイント(出典:国土地理院・編集:Snowstage)

 ちなみに第3チェックポイントから第4チェックポイントの間、左手南方に寄居の中心街があります。国道から右手に入る道の先に大正池という小さな池があり、そこから40分程歩けば、鐘撞堂山という山の山頂に出ます。標高330メートル程の低山ながらも、展望のすばらしい山です。

 さて寄り道をせず第3チェックポイントから第4チェックポイントに行くには、直線を2.3km進むだけです。

第4チェックポイント(皆野寄居バイパスとの分岐)

 第4チェックポイントで、国道140号線と皆野寄居バイパスは分岐します。ここが今回のルートで最もわかりずらい部分でしょう。道路地図などで見るとどちらも国道140号線の記載になっている場合もありますが、ここでは北を回るルートを国道140号線、荒川を渡り南下するルートを皆野寄居バイパスと呼ぶことにします。北へ回る国道140号線を進むことを考えると、どうしても右車線に入りたくなるものですが、ここでは逆で、左車線に入らなければなりません。地図で見ると、この2つのルートは単にY字路として描かれていることが多いのですが、実際には、そのY字路のかなり手前の部分ですでに分岐しています。

図5:第4チェックポイント(出典:国土地理院・編集:Snowstage)

 上図の第4チェックポイント書いている部分で、必ず左車線に入ってください。路面標識には、左車線は「長瀞方面」、右車線には「有料道路」と書いてあります。地図上でY字路になっているように見える部分で、左車線の国道140号線は皆野寄居バイパスの高架下をくぐってクロスすることになります。この高架下を超えたすぐ先に交差点があります。この交差点は県道349号線との交差点です。上図(図5)の左端の南北に延びるラインが県道349号線です。この県道を少し北上したあたりに円良田湖というダム湖があり、釣り人達に人気のスポットのようです。逆にその交差点で左折し、県道349号線を少し南下すると、荒川に架かる折原橋というアーチ橋が現れます。この橋から第2チェックポイントの項で少し紹介した玉淀ダムを正面に望むことができます。長瀞中心部へ向かうには、皆野寄居バイパスにも、県道にも行かず、国道140号線を直進します。第4チェックポイントから離れるにつれ、国道140号線は北へ緩やかにカーブして行き、車窓の風景も農村地帯へと変わっていきます。国道の右手は一貫して鐘撞堂山から続く豊かな樹林の山稜ですが、手前に張り出した丘の上に大きな建物があるのが確認できます。この建物がかつての「かんぽの宿寄居」です。日本郵政が全国展開していたホテル群「かんぽの宿」は2022年、外資のマイステイズホテルに一部を除き売却されました。それら32のホテルは亀の井ホテルと名前を変え、リニューアルオープンしました。この亀の井ホテル長瀞寄居の真下が第5チェックポイントです。

第5チェックポイント(県道82号線の起点)

 先ほど紹介した亀の井ホテル長瀞寄居(旧:かんぽの宿寄居)は第5チェックポイントの一つ手前の信号機を右折し、丘を登った先にあります。それにしてもこの立地を良く見つけたものです。この近辺には目立った観光スポットはありません。確かにこの辺りは、埼玉県におけるカヌーの中心地のような場所です。しかしカヌー人口自体それほど多くありませんから、それを狙ったとは思えません。やはりメインターゲットは長瀞の観光客だと思われます。長瀞観光は荒川の西岸に集中していることは間違いありませんが、長瀞対岸と呼ばれる荒川の東岸部分にも観光スポットは少なくありませんから、両岸を観光したいという旅行者のニーズは多いと思います。しかし、長瀞の対岸に車で渡れる橋は、皆野町の親鼻橋を含めても3つしかありません。車での移動であっても、両岸を縦横無尽に観光するわけには行かないというのが、長瀞観光の弱点であるともいえます。

図6:第5チェックポイント(出典:国土地理院・編集:Snowstage)

 長瀞対岸、すなわち荒川の東岸部を主に回りたい旅行客にとっては、ここから県道82号線を進むのが最も効率的な方法です。亀の井ホテル長瀞寄居の立地は、県道82号線から荒川東岸部を目指す旅行客、国道140号線から荒川西岸部を目指す旅行客の双方を取り込めるのです。高台にあるため展望も良く、荒川と山々の織り成す風景も秀逸で、平成11年には幸運なことに、温泉を掘り当てることにも成功しました。

 今回の記事では最終ゴール地点を長瀞駅前交差点としましたので、第5チェックポイントは単なる通過点でしかありませんが、第5チェックポイントから始まる県道82号線は非常に重要です。県道82号線沿いの観光スポットだけではなく、長瀞左岸の観光スポットでさえ県道82号線を通った方が近い場合もあります。

 もう一つ第5チェックポイント付近の観光で見逃せない点は、この付近はカヌー・カヤックの出発地点だということです。(カヤックというのはカヌーの一種ですので以後カヌーとのみ記述します。)この第5チェックポイント付近から前述の第4チェックポイント下流にある玉淀ダムまでは、絶好のカヌーのコースと言われています。カヌーはライン下り・ラフティングなどとは違い、完全に旅行者本人が自分で操縦する小舟だということです。初心者でも安心してカヌーを体験できる川というのはそう多くありません。荒川の流れの速度は下流の玉淀ダムによって、カヌーに適した流れに抑えられ、川幅も広く初心者でも安心して体験できます。両岸高くまで原始の森林によって覆われているというこの流域の特色は、カヌー特有の低い視点(水面から50㎝程度)から眺めると一層際立ちます。

 第5チェックポイントのすぐ近くに2社のカヌーの専門業者、「カヌーテ」「カヌーリゾート玉淀」があります。カヌーというと敷居が高いように思いますが、この2社はいずれも未経験者・旅行者におすすめの業者で、カヌー一式、装備、初心者講習がツアー料金に含まれています。つまり未経験者が手ぶらで行ってもカヌーを体験できます。もちろん川下りやラフティングなどと違い、ただ舟に座っていれば良いというものではありませんので、それなりに真剣に取り組まなくてはなりません。

カヌーテ

名称:カヌーテ

住所:埼玉県秩父郡長瀞町長瀞487-3

最寄駅:波久礼駅(秩父鉄道)徒歩5分

設備;無料駐車場・トイレ・更衣室・ロッカー有

90分プラン5000円、3時間プラン8000円

講習料・カヌー一式レンタル料・ライフジャケット等レンタル料込

カヌーテ(アソビュー紹介ページ)

カヌーリゾートたまよど

名称:カヌーリゾートたまよど

住所:埼玉県大里郡寄居町金尾633

最寄駅:波久礼駅(秩父鉄道)徒歩15分

設備:無料駐車場・トイレ・更衣室

120分プラン5800円、3時間プラン8000円

講習料・カヌー一式レンタル料・ライフジャケット等レンタル料込

決済手段:クレジットカード・paypay

カヌーリゾートたまよど(アソビュー紹介ページ)

 第5チェックポイントから左折し、県道82号線に入ったのち再度国道140号線に戻るというコースも考えられますが、ここでは第5チェックポイントを直進し、そのまま国道140号線を走ります。図6においては国道140号線は北に向かっていますが、その先で荒川の流れに沿って左にカーブしていきます。ここで国道右手に並走していた秩父鉄道の線路と交差し、これ以降秩父鉄道の線路は国道の左側になります。

 このカーブを曲がり切ったあたりにラフティング業者「ワンダーパラダイス長瀞」があります。先ほどはカヌーを紹介しましたが、カヌーは長瀞旅行のウォーターアクティビティとしては主役とは言えません。もちろん大正時代から現代まで続くライン下りは最も有名ですが、それに次ぐ知名度なのが長瀞のラフティングです。長瀞全体でラフティング業者は全部で9社もあり、ここでそれらを紹介するのは、さすがに場違いだと思いますので、先に進んでいきたいと思います。

 この先第6チェックポイントまで国道140号線沿いには、一見すると目ぼしいものは何も無いようにみえます。しかし、実はここに埼玉旅行で最も見逃せない旅行スポットの一つが隠されています。

 第5チェックポイントと第6チェックポイントの中間辺りは、ちょっとした集落となっています。長瀞アルプスと呼ばれる山々から流れる小川はこの辺りに集まるため、小さな扇状地のようになっており、この地域では珍しいちょっとした平坦地です。ここには白鳥橋と呼ばれる、荒川の対岸に渡れる長瀞町では数少ない橋の一つがかかっています。ここもチェックポイントにしようか悩みましたが、インパクトの強い要素が少ないため見送りました。ここはかつて樋口村と呼ばれており、長瀞町の前身である野上町とは別個の自治体でした。樋口村の名は、秩父鉄道樋口駅の駅名として残っているのみで、現在は野上下郷(のがみしもごう)と呼ばれています。

 野上下郷は、東国つまり関東一円から東北地方の独自文化にかかせない石材の産出地でした。その石材、秩父青石と呼ばれる緑泥石片岩の採掘された遺構は現在も野上下郷の山林の中にひっそりと佇んでいます。その石材から何が作られたか、それが鎌倉時代から室町時代にかけて関東・東北を中心に4万体以上作られたという、板石塔婆(いたいしとうば)というものです。板石塔婆の大半は高さが膝丈ほどからせいぜい1メートルほどの小さな石碑ですから、歴史に興味がある人を除いて、気にも留められないことがほとんどです。しかしよく見ると、日本語以外の怪しげな文字がかかれていることがあります。その文字は仏教の原典であるサンスクリット語です。

 4万体の板石塔婆の約半分は埼玉県内にあります。石材の原産地である野上下郷に近い地域に、板石塔婆が偏在するということは不思議なことではありません。不思議なことは、何故サンスクリット語が使われているか、なぜ埼玉県の奥地にサンスクリット語を理解できる高僧がいたのかということです。その経緯については何一つわかっていません。当時の庶民は誰一人理解できなかったであろうサンスクリット語で書かれた石碑が、東日本全体まで広がる大ブームとなったのです。

 東日本各地の石材商は、当時最高のものと思われていたこの石材を求めて、遠路はるばる原産地である野上下郷まで赴いたはずです。野上下郷の人々は、それらの石材商にわかりやすい目印を作る必要がありました。また自らの商品の素晴らしさをアピールする必要もあったのでしょう。地上からの高さ5メートルという圧倒的な大きさの石塔婆を作ったのです。この石塔婆は、この地方の城主であった安仁和直家の供養のため1369年に建てられたというのが、史実ですが、これだけの規格外の大きさのものを作るからには、それなりの理由があったはずです。

 埼玉県さいたま市大宮にある県立歴史と民族の博物館の一番目立つ場所に、この野上下郷石塔婆のレプリカと、その他県内の代表的な石塔婆のレプリカを並べて展示してあります。下の画像で見比べてみてください。

埼玉県立歴史と民族の博物館 野上下郷石塔婆(レプリカ)
写真1:埼玉県立歴史と民族の博物館 野上下郷石塔婆(レプリカ)

 この規格外の石塔婆は、国道140号線沿いから5メートルほど奥まった高台に聳えており、本来であれば車窓からも眺められるはずです。しかし、ちょうどカミタルクという工場が鉄のカーテンのように視界を遮っており、現在では国道から全く見ることができません。カミタルクの次の小道を右折すると、ちょうどその工場の裏手にあります。

第6チェックポイント

 樋口駅を過ぎるとまた国道140号線は山間部に入っていきますが、しばらくすると景色が開けていきます。そこから先が秩父郡長瀞町で最も人口が集中する野上という地域です。第6チェックポイントを左折すると北桜通りと呼ばれる県道287号線です。北桜通りは2.5kmに及ぶ桜並木で有名です。北桜通り沿いには、長瀞を代表するコテージ・オートキャンプ場のフォレストサンズ長瀞や、高砂橋を渡り蓬莱島などの長瀞対岸に渡ることもできます。もっともこの辺の旅行スポットへ向かうには必ずしもこのルートをたどる必要はなく、第4チェックポイントから県道82号線を通ったほうが近道です。また野上の市街地は道路網も比較的発達しているため、自由に車で移動できます。この北桜通りは長瀞駅付近の長瀞駅前商店街まで続いています。

 第6チェックポイントをこの場所に設定した最大の理由は、ここを右折した県道13号線の先に埼玉県児玉郡神川町があるからです。神川町は埼玉県北西部の群馬県との県境にある細長い町です。埼玉県の中では、長瀞エリアに入れるしかありませんが、地形的には秩父長瀞とは全く別の場所にあります。神川町の町は、群馬県と埼玉県の県境を流れる神流川に沿って広がっていますが、神流川は利根川水系の河川です。航空写真を見れば一目瞭然ですが、長瀞・秩父・小鹿野などは平地によってつながっており、全体を秩父盆地とみなすことができますが、神川町については、山々によって完全に隔絶されています。神川町は小さな町ですが、旅行においては無視することはできません。なぜなら埼玉県には国指定の天然記念物・名勝はたった2つしかなく、一つが長瀞岩畳、そしてもう一つがこの神川町の三波石峡だからです。

 三波石峡(さんばせっきょう)は江戸時代から長瀞と並ぶ武蔵国を代表する景勝地とされてきました。ところが昭和43年に神流川上流部、ちょうど三波石峡のすぐ上流の位置に下久保ダムが建設されたことにより景観は大きく崩されてしまいました。三波石峡に流れる水が枯渇し、雑草に覆われてしまったのです。平成の時代に入り、ようやく対策が立てられました。ダムの水量を調節することにより、三波石峡に流れる水量が増え、かつての姿をようやく取り戻しつつあります。それ以来年々輝きを増す三波石峡は、ある意味今後もっとも期待できる埼玉の観光地ということもできます。

長瀞で最もおすすめの旅館:長生館