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埼玉旅行アクセス情報その4:JR池袋駅から西武池袋線池袋駅へ

秩父旅行への入口-西武池袋線

 過去3回に分けて、羽田空港から池袋駅までの鉄道を使ったアクセスを説明してきました。池袋駅は東京都に含まれますが、埼玉旅行のターミナル駅といって良い存在です。埼玉の旅行エリアはいくつかにわけられますが、秩父市を中心とする秩父エリアは最も人気があり、観光資源が豊富なエリアです。

 秩父エリアは主に秩父市・秩父郡小鹿野町・秩父郡横瀬町の三市町からなります。この三市町を合わせた面積は約800平方キロメートル、東京23区の合計よりも広い面積です。この広大なエリアに走る鉄道は秩父鉄道と西武秩父線の2路線しかありません。秩父エリアに広く点在する観光スポットに行くためには、バスを使うことが多くなりますが、それらのバスの多くの起点は西武秩父線の終着駅でもある西武秩父駅です。

 池袋駅から西武秩父駅に行くには、西武池袋線と西武秩父線の2つの路線を利用することになりますが、この2つの線路は飯能駅で連結しています。池袋駅で、西武秩父行の特急ちちぶ号に乗れば乗り換えなしで到着します。西武池袋線と西武秩父線は、池袋駅から西武秩父駅までの一本の路線と見なしても問題はありません。

羽田空港から池袋駅までの行き方は以下のリンクを参考にして下さい。

埼玉旅行アクセス情報その1:羽田空港からモノレールへ 

埼玉旅行アクセス情報その2:モノレール浜松町駅からJR浜松町駅へ

埼玉旅行アクセス情報その3:JR浜松町駅からJR池袋駅へ

JR池袋駅から西武池袋線池袋駅へえの乗り換え

JR池袋駅には5つの改札がありますが、そのうち南改札が、最も西武池袋線に近い位置にあります。山手線内回りの場合、進行方向の前方の車両に乗っていると、南改札から出るのに便利です。

JR池袋線のホームは全て1階にあり、南改札は地下1階です。ホームから2階に続く階段もありますが、これはメトロポリタン改札に登る階段ですので登らないようにしてください。

池袋駅案内図

上はJR池袋駅地下1階の案内図です。JR池袋駅の南改札と西武池袋線池袋駅に赤丸をつけてみました。実際には南改札を出て、左に進み突き当り右に西武池袋線の池袋駅があります。

JR池袋駅山手線内回りホーム
JR池袋駅山手線内回りホーム

写真中央に地下へ降りる階段があります。このような地下改札階へ降りる階段がいくつもありますが、進行方向前方の階段から降りれば、南改札に出られます。後方の階段を下りた場合は、中央2改札または北改札から出場したのち、地下通路を通り南改札方面に歩くことになります。

JR池袋駅地下1階改札階へ降りる階段
JR池袋駅地下1階改札階へ降りる階段
JR池袋駅改札内広場
JR池袋駅改札内広場

ホームからの階段を下りると改札内広場に出ます。池袋の改札内でもっとも広い場所で、コンビニやユニクロ、飲食店などが入っています。ここから南改札の他、中央1改札から出ることもできます。

JR池袋駅南改札
JR池袋駅南改札

この南改札をすぐ左に行きます。改札前の通路は南通路と呼ばれ、かなりの広さがあります。改札を出て斜め正面にみどりの窓口があります。みどりの窓口の前を横切るように進むとわかりやすいでしょう。

JR池袋駅南通路
JR池袋駅南通路

 この写真の突き当りを右に行くと西武池袋線です。左手には有楽町線池袋駅があります。有楽町線は埼玉旅行とはあまり関係ありませんが、1駅で東池袋駅につきます。東池袋駅はプリンスホテルやサンシャインシティと地下で直結している便利な駅です。

池袋駅南通路、左は地下鉄有楽町線池袋駅
池袋駅南通路、左は地下鉄有楽町線池袋駅
西武池袋線池袋駅 地下改札
西武池袋線池袋駅 地下改札

南通路を突き当りで右に曲がると、上の写真の場所に出ます。突当りが西武池袋線の地下改札です。西武池袋線もホームは地上にあります。改札を入ってから1階に上がります。また、一階にも改札はあります。

西武乗車券センター

西武池袋線地下改札前の西武乗車券センターです。ここでは特急券や西武バスの乗車券などを購入することができます。

西武乗車券センター

住所:東京都豊島区南池袋1-28-1

営業時間:平日11:00~20:00 土日祝11:00~18:00

クレジット決済:対応可

西武池袋線池袋駅から西武秩父駅へ

特急ちちぶ(Laview ラビュー)

池袋から秩父の直線距離は約65㎞です。西武池袋線と西武秩父線は、この直線距離のラインを蛇行しながら進みます。「特急ちちぶ」はこの距離を約1時間20分で走ります。途中停車駅は両路線の連結駅である飯能駅と、終点の西武秩父駅を含め5駅のみです。

 特急を使った場合の池袋駅から西武秩父駅までの運賃と料金は1500円(運賃790円、特急指定席710円)です。西武鉄道の特急は全席指定席で、自由席はありません。

 池袋発の特急は、特急ちちぶの他に特急むさしがあります。特急むさしは西武池袋線の終点飯能駅止まりの特急のことで、池袋から飯能まで約40分、980円(運賃480円、特急指定席500円)です。準急飯能行が約60分、急行飯能行が約50分で飯能に到着し、ともに480円の運賃のみで飯能までつくことを考えると、特急を使うかどうか迷うところですが、特急を使うメリットの一つは指定席と時間節約だけではなくその快適性です。

 特急ちちぶ、特急むさしともLaview(ラビュー)という車両を使っています。西武鉄道の特急車両は大きく別けて2種類あり、従来型のレッドアロートの他、2019年に新たに投入された新型特急専用車両ラビューに分けられます。西武池袋線と西武秩父線の全区間は現在新型のラビューに切り替わりました。

 ラビューの最大の特徴は足元まで広がる大きな車窓です。西武池袋線の池袋ー飯能間は主に市街地、住宅地を走りますから大きな車窓の意義はあまり感じられません。西武秩父線の区間、つまり飯能から秩父間は両側を深い森林に囲まれた景観を眺められる、完全な観光列車と化します。窓が大きい観光列車としてスイスのグレーシャー急行などが有名ですが、日本では箱根登山鉄道も大型窓を近年取り入れました。ラビューは特急列車でありながら、このような山岳観光列車を意識したデザインになっています。

西武鉄道新型車両ラビュー車内
西武鉄道新型特急車両ラビュー車内

 それ以外にもラビューは広々としたインテリア、丸みを帯びた外観など従来の鉄道列車にない斬新なデザインです。2020年ブルーリボン賞、2019年グッドデザイン賞など数々の賞を受賞しました。以上のようなことを考えると、やはり秩父までのおすすめは特急での移動ということになります。

西武鉄道新型特急車両ラビュー外観
西武鉄道新型特急車両ラビュー外観

 飯能止まりの特急むさしは通勤列車としての利用を想定して、下り列車は夕方以降が多く、逆方向の池袋行きは早朝がほとんどです。飯能市は、2018年にメッツァ、ムーミンバレーパークがオープンし本来であれば観光地としてもっとクローズアップされても良い場所です。西武秩父駅も2017年に西武秩父駅が大型改装され、オープンした複合温泉施設「西武秩父駅前温泉祭の湯」がオープンしました。2019年に新型車両ラビューを投入したことによって万全の体制で2020年を迎えるはずでしたが、2020年初頭からのコロナ禍によって大きく水を差されてしまいました。これがなければ、鉄道と観光地の一体型の旅行ルートとして、マスコミなどで大々的にアピールできたことでしょう。

 逆に言えば、この旅行ルートは全国的には過小評価されていると言っても良いでしょう。国内、海外からの旅行客が増えれば、鉄道やバスの本数も増え、更に利便性は高まります。そうなるとミューズパークや奥秩父、秩父三十四箇所といった、駅から離れた観光資源も活きてきます。

ブレイズスマートEV

旅するレストラン52席の至福 

 特急ちちぶは池袋ー西武秩父間を1時間20分で繋ぎますが、これと同じルートを3時間かけて走る列車もあります。それが旅するレストランと呼ばれる「52席の至福」です。52席の至福は臨時運行列車で、毎日走っているわけではありません。始発駅は西武池袋線の池袋駅と、別ルートで西武新宿線の西武新宿駅始発の2ルートあります。終点はいずれも西武秩父駅です。

 52席の至福は4両編成の列車で、3両目がバーカウンターやオープンキッチンのあるキッチン車両で、1両目がイベントなどができるオープンスペース、2両目と4両目が客車です。しかし客車も鉄道の客席の常識を覆すようなつくりで、レストランのような4人掛けと2人掛けテーブルとイスがフロア全体に配置され、その椅子の合計が52名分あるのです。つまりこの列車は移動手段ではなく、レストランを鉄道の上で再現するために予め設計された全く新しい乗り物と言ってよいかもしれません。

 このような高級感のある食堂車は、クルーズトレインと呼ばれる、例えばJR九州のななつ星、JR西日本のトワイライトエクスプレス瑞風、JR東日本の四季島などを彷彿とさせます。ただしこれらの列車は寝台車で一泊2日で数十万円という完全な富裕層向けの商品です。千葉県のいすみ鉄道のレストラン列車は食事は高級なものですが、列車自体は通常のものと変わらず、高級レストランと呼ぶのは無理があるでしょう。52席の至福は価格もリーズナブルで、内装などもそれなりに高級感があります。

 52席の至福は、首都圏からの多くの集客を見込んだからこそできた列車とも言えます。ただ、これは通常の電車などと違い、20名が最小催行人数という縛りがあります。これは52席の至福は一種の国内ツアーであるということを意味します。52席の至福のことは、秩父鉄道の公式ホームページには一切記載されていません。西武鉄道は第二種旅行業登録の旅行会社でもあり、募集型企画旅行を行うことが可能です。最少催行人数に達しない場合運行する義務がないという旅行会社としてのメリットによって、この格安な価格はなりたっています。

 52席の至福は秩父行きの片道切符です。秩父で下車した後は各自秩父で宿泊するか、通常の電車などで帰宅するかになります。もちろん秩父での観光をする場合が多いでしょう。52席の至福に乗車した場合、西武線1日フリー切符がついてきます。乗車券のみ西武全線無料ですので、帰りに特急に乗る場合は別途特急券が必要です。

 52席の至福の運行は基本的に6月から9月の土日運行で、その多くは西武新宿発で、池袋発は数えるほどしかありません。昼食時間に合わせて運行するブランチコースと夕食時間に合わせて運行するディナーコースがあり、ブランチコースが1万円、ディナーコースが15000円です。ただディナーコースというのは西武新宿駅や池袋発の52席の至福の折り返し運行列車のことです。出発駅は西武秩父駅で基本的に16:20が発車時刻です。ディナーコースを選ぶ場合は、西武秩父駅が集合地点ですので、旅行者が各自秩父観光をした後の帰りの電車として利用するのが前提になっています。ブランチコースとディナーコースを合わせると往復で25000円になりますが、必ずしも同日に両方のコースが運行するとは限りません。あくまでもブランチコースとディナーコースは別々に申し込む、別のツアーと考えた方が良いでしょう。

 それ以外に別の旅行会社が集客し、それに合わせて臨時運行するということもやっています。別の旅行会社が入ることによって、上記コースに秩父での観光や帰りの列車、バスなどを組み合わせ更に充実した別の旅行商品に代わります。例えば日本橋にある株式会社ポケットカルチャーという旅行会社は2022年11月12日と11月23日に合わせ、以下のようなツアーを実施します。

52席の至福と紅葉の秩父神社宝登山神社

 このツアーは一人24000円で1名から申し込み可能な添乗員付きのツアーです。10:20に西武新宿線改札前で集合し、52席の至福ブランチコースに乗車します。西武秩父駅で下車したあとはバスツアーに変わります。ちょうどその時期は紅葉が予想されます。秩父神社、秩父まつり会館、宝登山神社を見学した後、花園インターから高速道路で新宿に戻るというすばらしいプランです。

 まだ他の旅行会社ではこの列車を使ったプランは少なく、この列車を活かしきれていない印象です。もっと多くのプランを見てみたいものです。ラビューを使ったプランを含め、良い旅行プランが見つかったら、このサイトでも取り上げたいと思います。