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大宮駅を起点とする埼玉旅行

埼玉旅行の最大の拠点地「大宮」

 国内旅行であれ海外旅行であれ、交通面・宿泊面において利便性の高いのはそのエリアの中心都市です。埼玉旅行をする場合もやはり埼玉県第一の都市「さいたま市」に起点をおけば便利なのは間違いありません。しかしさいたま市は広く、市内の駅は30か所以上あります。ここではもう少し範囲を狭め、さいたま市内の「大宮」という地点を埼玉旅行の拠点として推薦したいと思います。

 埼玉県の県庁所在地は「さいたま市」ですが、大宮はそのさいたま市の一つの区にすぎません。確かに大宮は埼玉県有数の繁華街ではありますが、他都道府県の中心地に比べると、突出している印象はありません。埼玉県の行政の中心は浦和ですし、他にも川口、所沢、川越、熊谷、越谷、春日部など埼玉県には中規模の都市が多く、大宮はそれらの一つというとらえられ方をしています。さいたま市はそもそも、大宮市・浦和市・与野市などの中型都市の合併によってできた大都市ですので、大宮だけを切り取って川口や所沢、川越などと比べられるのも無理からぬことです。

 埼玉県に幾多とある中規模都市の一つのようにしか見えない大宮ですが、旅行インフラという点に関しては、他の埼玉県の都市を圧倒しているのはもちろん、全国各地の大都市をもはるかに上回っています。大宮駅は北陸新幹線・上越新幹線・東北新幹線(山形新幹線・秋田新幹線も含む)の停車駅です。大宮駅を出たあと、上野・東京と進みますが、上野は一部停車しない新幹線もあるのに対し、大宮には必ず停車します。大宮駅は新幹線での埼玉旅行の最重要駅であることは間違いありませんが、それだけではありません。

大宮は新幹線・在来線での旅行の最重要地点

 例えば金沢から仙台、福島から長野などという旅行ルートをイメージしてください。北陸・長野・新潟方面と東北方面を新幹線で行き来する場合は、必ず大宮での乗り換えとなります。もちろん、上野や東京で乗り換えることもできますが、全くの無駄足といえます。これらの旅行の場合「上野」「東京」という駅は全く必要なく、大宮こそが最重要の駅になります。新幹線を乗り継ぐ旅行において、上野は必要ありません。東京は東海道新幹線に乗り継ぐときにだけ必要になりますが、北陸・東北・長野・新潟・群馬というエリア内の旅行においても大宮が最重要駅であることは間違いありません。このことを逆に言えば、大宮に拠点を置けば、これら広大なエリアへの旅行が短時間で容易にできるということです。

写真1:JR大宮駅(東口)

 更に大宮には在来線も多く、JR高崎線・宇都宮線・川越線・埼京線・京浜東北線・東武アーバンパークライン・ニューシャトルといった路線があります。埼玉旅行では、この大宮の他、池袋が二大拠点ということができますが、池袋を拠点とした場合と大宮を拠点とした場合では、旅行プランの立て方が全く変わります。池袋を拠点とした場合、旅行エリアは埼玉県の西半分が中心となりますが、大宮拠点の場合は、埼玉県全域に加え栃木・日光など栃木県や軽井沢・尾瀬などの長野県・群馬県も含まれます。西日本からなどの旅行者が、これら北関東の旅行スポットを中心に旅行したいという場合、いずれかの北関東の旅行スポット付近か東京都でホテルを探しがちです。しかし、各旅行スポット同士の接続や、費用、所要時間などをトータルして考えると実は大宮で宿泊することがベストであることが多いのです。

 今後、埼玉旅行と銘打っておいて、何の前触れもなく群馬・栃木・茨城など近隣県の旅行スポットを紛れ込ませることがあると思いますが、それは以上の理由からです。大宮を拠点とした場合、近隣県の旅行スポットでも短時間でアクセスできることが多く、これらを敢えて外す必要はありません。埼玉旅行といっても埼玉県内に固執するのではなく、自分の旅行テーマや興味のあることを柔軟につないでいくのが最善であると思います。

鉄道の歴史における大宮

 明治17年(1887年)、高崎線と宇都宮線との分岐が大宮駅に決定したことが、その後大宮が県内有数の都市に成長した要因と言えるでしょう。

 明治5年(1872年)東京新橋から横浜まで開通したのが日本の鉄道の始まりと言われています。明治政府はそれを全国展開したいと考えていましたが、財政難などにより思うように展開できませんでした。政府は民間に出資を求め、日本最初の民間鉄道会社「日本鉄道会社」が誕生しました。その最初が東京の上野から群馬県の高崎までを走る路線で、これが軌道に乗りはじめ、次に東北方面へ鉄道を伸ばすことを計画しました。上野ー高崎間のどこから東北方面へ分岐するかでかなり議論になったようです。最終的に大宮を分岐点として栃木県の宇都宮市まで鉄道が作られました。この二つのコースが現在のJR高崎線とJR宇都宮線にそのまま引き継がれており、さらに新幹線もやはり大宮が東北方面への分岐点となっています。

写真2:JR大宮駅完成予想図(鉄道博物館所蔵)

 このように鉄道の歴史においても、大宮は最も重要な駅です。2007年JR東日本は創業20周年を記念し、この大宮の地に「鉄道博物館」を設立しました。鉄道博物館は延床面積28000平方メートルを超える巨大博物館です。屋上から北陸・上越・東北系統の全ての新幹線の実際の走行を観察できることが、鉄道博物館のアピールポイントの一つですが、それとともに歴史的意義の大きさも大宮を選んだ要因といえます。

旅行の宿泊地としての大宮

 大宮の発展は、鉄道によるところが大きいのは間違いありませんが、大宮宿は江戸から京都へ向かう中山道の宿場町として、また氷川神社の参拝者の宿泊地としての歴史もあります。中山道は東海道とともに東西をつなぐ主要な街道で、多くの旅人が行き交いました。

写真3:江戸時代の五街道(さいたま市立博物館所蔵)

 徒歩での旅から、鉄道・飛行機・自動車などが現代の旅行の移動手段になり、大宮の宿場町としての役割は大いに変化しました。現代の東京から京都への旅行をする際に大宮で一泊する人は皆無といって良いでしょう。逆に京都から東京への旅行で大宮に宿泊することは、ないとは言えませんが、それもそれほど多くないでしょう。

大宮で宿泊した場合の旅行ルート

 大宮で宿泊した場合の旅行ルートは大きく分けて4つに分けられます。

  • 大宮から高崎線で熊谷へ行き、秩父鉄道に乗り換えるパターン(寄居・長瀞・行田等)
  • 大宮から川越線で移動するパターン(川越・ムーミンバレーパーク方面)
  • 大宮周辺の埼玉旅行(さいたま市、埼玉県南部・東部)
  • 大宮から県外の観光地へ

大宮が宿泊地として望ましい理由

なぜこれらの旅行ルートで大宮が宿泊地で望ましいかという点を簡単に説明します。埼玉県の旅行スポットをつなぐ鉄道は多く、それらの鉄道はいくつかの点で交差します。大宮を経由しないでも、埼玉県の旅行エリアから別の旅行エリアへ移動することは可能です。しかし東西へ移動する鉄道は少なく、秩父鉄道かJR武蔵野線のいずれかを使うことになります。秩父鉄道は、秩父鉄道沿線の旅行スポットに行く場合は必須の鉄道ですが、移動のための中継地点として使うには非効率です。秩父鉄道は本数が少ない上、埼玉県の大外を回るため時間がかかります。もう一方のJR武蔵野線ですが、東武スカイツリーライン、埼玉高速鉄道、JR京浜東北線、埼京線、東武東上線、西武池袋線といった埼玉県の主要な鉄道と乗り換え可能であり、利便性はよいのですが、大宮のように良いホテルが集まる拠点地はありません。

 規模の比較的大きい良いホテル集まり、鉄道の集結する大宮は、埼玉県を広く旅行するにはベストであり、遠方から来る旅行者が、短期間で埼玉県を広範囲を旅行したい場合、まず大宮周辺のホテルが第一候補となります。

宿泊地としての大宮と池袋の比較

 池袋は東京都ですが、埼玉県の主要な旅行地とのアクセスも良く、ホテルの数でいえば大宮よりもはるかに多くあります。しかし池袋の場合、池袋駅から意外と距離が離れているホテルも多く、駅から徒歩10分圏内という範囲でみると数がしぼられます。それでも、ホテルの質・量を比較すると池袋の方が全体的に勝っており、選択肢も多いといえます。

 コスト面でいえば、ホテルの宿泊料金は条件や時期によって様々に変動するため、単純比較することは難しいのですが、全体的にみると大宮の方が割安です。

 各旅行エリアへのアクセス面で比較すると、川越エリア以東・以北の埼玉県に行く場合は、大宮のほうが便利で、短時間で行くことができます。埼玉県全域でみると、大宮は池袋よりアクセスにすぐれているのですが、池袋の優位性は秩父の主要観光地やムーミンバレーパーク、ハリーポッターテーマパーク(スタジオツアー東京)といった埼玉旅行で人気のスポットへのアクセスが良く、また西武秩父線の終点から秩父鉄道に乗り換えることによって奥秩父方面や長瀞方面、池袋から東武東上線を使って川越方面へのアクセスも良いというメリットがあります。

 空港からのアクセスで比較すると、時間的にも距離的にも池袋が若干有利ですが、新幹線でアクセスは大宮が圧倒的に便利で、東北上越北陸方面からの新幹線は大宮が直接の停車駅です。ただし、西日本から東海道新幹線で大宮に向かう場合、東京駅で乗り継ぐ必要があります。新幹線料金が余分にかかることを考えると、品川や東京で在来線に乗り換え池袋に向かうという選択肢も十分に考えられます。東京から大宮の新幹線は、乗車時間24分、5分間隔程度で頻繁に走っています。料金は運賃を合わせ片道2990円で、この価値をどうとらえるかです。在来線を使わず宿泊地まで行けるというのは大きなメリットです。高いと感じるならば、東京駅あるいは品川駅で在来線に乗り換えても問題はありません。東京駅から大宮駅へは在来線のJR上野東京ラインで35分、運賃580円品川駅から池袋駅へ山手線外回りで30分、運賃280円東京駅から池袋駅へ山手線内回りで25分、運賃210円です。

  新幹線での旅行にしても飛行機での旅行にしても、先に到着するのは東京です。東京から、あえて大宮へ移動し宿泊する理由は別にあります。その場合の旅行の目的地は埼玉か、あるいは関東一円ということになります。大宮に宿泊した場合、旅行先は大宮を中心点として、かなり広い円を描きます。例えば西日本から東北旅行を計画している場合でも、大宮で一泊することにより、かなり楽になります。北海道から北関東や信越への旅行を計画している場合、新千歳ー新潟などの直行便もないことはないですが、本数は少なく、羽田・成田まで飛行機で、そこから鉄道を使うケースも多いでしょう。その場合、大宮はちょうど良い中継地点になります。

大宮の宿泊エリア

 大宮のホテルは駅周辺に固まっているため、あえてエリア分けする必要もありませんが、あえて分けるなら大宮駅西口、大宮駅東口、そして一駅離れますがさいたま新都心エリアの3つのエリアにわけることができます。

 大宮西口エリアは西口徒歩3分にパレスホテル大宮という旅行拠点としての大宮を長くけん引してきたおすすめのホテルがあります。カンデオホテルズ大宮は、近年注目されている全国チェーンのホテルグループで、屋上露天風呂を備えていることが全グループホテルのセールスポイントになっています。その他、スーパーホテル、エクセルイン、マロウドインなどのホテルがあり、いずれも好立地です。

 大宮駅東口エリアは手ごろな価格のビジネスホテルが駅近くに点在しています。西口が大きめの商業ビル中心の街並みに対し、東口を出てまず目につくのが商店街や飲食店街です。飲食店は深夜まで営業しており、埼玉県有数の歓楽街でもあります。2022年にレイボックホールという大きな建物が駅前通りにオープンし、街並みも変化してきました。その前を通る道が新都心方面から続く、東口で最も交通量の多い道路ですが、この道がかつての中山道です。もう少し東へ進むと突き当たる大きな緑地帯、氷川神社の参道が交差します。中山道と氷川参道はほぼ並行して南北に走り、この二つの道が大宮の街の旧来からの基盤となっています。

写真4:江戸時代の中山道大宮宿(さいたま市立博物館所蔵)

 もともと中山道は氷川参道がそのまま利用されていましたが、交通量が増えるにつれ、参道との併用が困難になり江戸幕府が新しい道が造成し、宿場や住民も移転したという経緯があります。

 最後にさいたま新都心エリアです。さいたま新都心は大宮駅の一つ手前の駅ですから、旅行会社の分類では大宮に含めない場合が多いようです。行政区分もさいたま市大宮区と中央区の境目にあり、ここを大宮と呼ぶ人は少ないようです。ただ歴史的経緯をみると、大宮と切り離すことはできません。上の写真4の中山道と氷川参道の合流点が、現在のさいたま新都心にあたります。大宮の氷川神社の参道は、さいたま新都心の一の鳥居から始まり、氷川神社まで続きます。この2㎞の参道は日本一の長さがあります。

 さいたま新都心が大宮に含まれるかどうかは、旅行者にとって大した問題ではありません。重要なのは、さいたま新都心のホテルで宿泊したとしても、大宮駅周辺のホテル同等の利便性があるということです。さいたま新都心と大宮駅は京浜東北線・高崎線・宇都宮線という三本の主要路線で繋がれており、いずれも隣駅です。2、3分に一本は必ずいずれかの路線から電車があり、電車を待つことなく互いに移動できます。

 さいたま新都心の駅周辺は、大宮をしのぐ高層ビル群が密集していますが、それらの移動はさいたま新都心駅から歩道橋でつながれており、地上に降りることなく移動できます。埼玉県の主要駅付近はこのような構造の街が多く、大宮駅、川口駅、川越駅などが同様にJR駅改札が2階にあり、そこから歩道橋で近辺の商業ビルとつながれています。さいたま新都心の場合、歩道橋でつながれているのが、商業ビルばかりではなく、合同庁舎やホテルなどが連結されています。駅直結のホテルメトロポリタンさいたま新都心はもとより、ホテルブリランテ武蔵野やザ・マークグランドホテルが連結されており、実際の距離以上に近く感じます。

 例えば大宮駅で新幹線を降りた場合、高崎線・宇都宮線・京浜東北線のいずれかに乗り換え、2分ほどでさいたま新都心駅に着きます。さいたま新都心は2階に改札があり、あとは歩道橋をつたって、メトロポリタンは1分、ブリランテは3分、マークグランドは5分歩くだけです。スーツケースを転がして歩く場合は特に楽に感じるでしょう。

大宮からJR高崎線を利用した埼玉旅行

大宮から高崎線熊谷駅で秩父鉄道に乗り換えての埼玉旅行

 秩父鉄道は埼玉旅行において非常に重要な路線です。埼玉県の長瀞エリア・秩父エリアといった主要な旅行エリアを繋いでいるうえ、埼玉県北東部の旅行の中心、行田市駅や、東武伊勢崎線へ乗り換え可能な羽生駅にもつながっています。

 大宮から秩父鉄道へは、高崎線を北上し、熊谷(くまがや)駅で乗り換えます。高崎線には高崎行きと籠原(かごはら)行きがあり、いずれも熊谷で停車します。普通列車で40分程度、快速・特快で30~35分程度と考えてください。本数は10分間隔程度で、いずれかの列車に乗ることができます。運賃は590円です。

 その他に長野原草津口行きの特急草津四万(くさつしま)は片道1440円(運賃590円+料金850円)で、大宮を発ち次の駅が熊谷です(約25分)。特急は一日2~3往復程度です。 各種新幹線もやはり大宮の次の駅が熊谷で、片道2790円(運賃590円+料金2200円)で乗車時間は11~12分程度です。新幹線は上越新幹線(たにがわ・とき)・北陸新幹線(あさま・かがやき・はくたか)とかなりの本数があります。大宮-熊谷間は普通・快速・特快・特急・新幹線といった選択肢が多く、時間と予算に合わせ自由に選択できます。

 熊谷駅は在来線が1階、新幹線が3階に線路があり、改札階が2階です。新幹線のコンコースは完全に在来線コンコース内にあり、直接の出口はありません。在来線の改札も一か所のみのシンプルな構造です。一見すると不便なようですが、間違いの少なさでいうとこれ以上良い構造はありません。在来線の改札を出て、突き当りを左折し、熊谷駅南口への連絡通路の途中に、秩父鉄道の熊谷駅があります。熊谷駅での乗り換えについて、詳細は以下のページを参照してください。

長瀞へのアクセス1:熊谷から秩父鉄道で長瀞へ 新幹線熊谷駅から長瀞・秩父へ

大宮から高崎線を利用したその他の埼玉旅行

 大宮から高崎線を利用する場合、熊谷で秩父鉄道へ乗り換えるのが、埼玉旅行の本筋ですが、それ以外にも特筆すべき点がありますので、簡単に紹介しておきます。

 大宮駅から高崎線で6駅の場所に鴻巣(こうのす)駅があります。鴻巣駅は埼玉県の免許試験センターがある場所で、普通・快速・特快の全ての列車が停車します。ここから吉見百穴(よしみひゃくあな)という埼玉県を代表する奇勝へアクセスできます。鴻巣駅西口から免許センター経由東松山東口行きのバスを利用し、25分程度で「百穴入口」というバス停で下車し、徒歩5分で吉見百穴へ行けます。吉見百穴は他の旅行エリアから独立した場所にあるため、他県からの旅行者、特に自動車を使わず公共交通機関利用の場合は足が遠のきがちですが、全国でも類を見ない景観という意味では必見のスポットです。幸いにも免許センターのおかげで、この地区ではバスの本数も多い路線で、もっと旅行にも使われて良いはずですが、鴻巣駅から行けるとは思っていない人が多いようです。このバスの終点東松山駅は東武東上線上の駅で、百穴入口からバスで5分で到着します。

 大宮ー(高崎線25分)-鴻巣ー(バス25分)ー百穴入口バス停-(徒歩5分)ー吉見百穴(滞在時間1時間程度)ー(徒歩5分)-百穴入口バス停ー(バス5分)ー東松山駅ー(東武東上線23分)―川越駅ー巡回バス利用で川越観光ー川越駅ー(JR川越線23分)ー大宮駅

以上のような日帰りの周遊ルートが成立します。

写真5:吉見百穴

大宮からJR川越線利用の埼玉旅行

大宮からJR川越線を利用した川越旅行

 川越(かわごえ)は秩父・長瀞とともに埼玉県を代表する旅行エリアです。大宮からJR川越線を使い、5駅23分で川越駅に到着します。実は川越駅は川越観光の中心地から少しずれていますが、川越駅から東武バス、イーグルバスの2社が観光用の巡回バスを出しており、不便なく旅行スポットを巡ることができます。

川越 蔵造りの町並み
写真6:川越(蔵造りの町並み)

 JR大宮駅の在来線ホームは基本地上1階にありますが、川越線と埼京線のみは地下1階にあります。大宮駅の改札階は地上2階ですので、いったん地上1階の踊り場に出て、そこから更に19番・20番の埼京線ホームと21番・22番の川越線ホームに降りるかたちになります。

大宮からJR川越線ー川越ー東武東上線ルートの埼玉旅行

 川越線の列車は一時間に3本程度あり、全て川越駅が終点です。川越線は川越駅より先にも続いていますから、その先に進むには川越駅で乗り換えが必要です。普通・快速・通勤快速という3種類ありますが、いずれも大宮から川越間は各駅停車で、乗車時間もほとんど同じですので、どれに乗っても構いません。

 川越駅は線路が1階、2階が改札階で改札をでてすぐの場所に東武東上線の川越駅があります。つまり大宮から川越駅乗り換えで、東武東上線を使った埼玉旅行が可能ということです。大宮からJR川越線で川越駅、そこから東武東上線で寄居駅に出て秩父鉄道で長瀞エリアへ向かうルートもできなくはないですが、大宮秩父鉄道へアクセスする場合は前節で紹介した高崎線ー熊谷駅ー秩父鉄道のルートの方が便利ですので、このルートを選ぶ必要はありません。

 例外として大宮から長瀞エリア寄居町の川の博物館に行く場合は、

大宮ー(高崎線)ー熊谷ー(秩父鉄道)ー寄居ー(バスorタクシー)ー川の博物館

というルートが一般的ですが、

大宮駅ー(JR川越線)ー川越駅ー(東武東上線40分)ー小川町ー(東武東上線13分)ー鉢形(はちがた)駅ー(徒歩20分)ー川の博物館

というルートもありえます。

埼玉県立「川の博物館」

 その他に東武東上線の森林公園駅からは国営武蔵丘陵森林公園、高坂駅からは岩殿観音正法寺、東松山駅からは前述の吉見百穴、武蔵嵐山からは菅谷館跡や嵐山史跡の博物館といった見どころがあります。

大宮からJR川越線でムーミンバレーパーク

 ムーミンバレーパークは埼玉県飯能市にあり、西武池袋線の飯能駅か、またはJR八高線の東飯能駅からのアクセスが一般的ですが、JR川越線の武蔵高萩(むさしたかはぎ)駅からもバスでアクセスできます。JR武蔵高萩駅からムーミンバレーパークのあるバス停「メッツァ」までの乗車時間は約25分です。

写真7:ムーミンバレーパーク

 大宮駅からのJR川越線は全て川越駅が終点ですから、川越駅で八王子(はちおうじ)行きか高麗川(こまがわ)行きの普通列車に乗り換える必要があります。

 大宮駅から川越駅が25分程度、川越駅から武蔵高萩駅が17分程度の乗車時間ですが、この2つの列車は接続が良い場合もあれば、川越駅で待たされる場合もあります。大宮ー川越が一時間3本程度、川越ー武蔵高萩が一時間2本程度の本数なので、なかなかうまくかみ合いません。武蔵高萩からムーミンバレーパークのあるメッツァを経由するバスも本数は少ないため、どうしても待ち時間が多くなりがちです。

 平日の場合、以下の列車・バスを使うのが待ち時間が少なく、最もスムーズに移動できます。

9:38大宮発ー9:59川越10:11ー10:28武蔵高萩ー武蔵高萩駅入口バス停10:34ーメッツァ10:59

 土日の場合は以下の通りです。

9:11大宮発ー9:35川越9:42ー9:58武蔵高萩ー武蔵高萩駅入口バス停10:07ーメッツァ10:32

 タイミングが悪く、待ち時間が長くなった場合であっても、飯能駅経由ルートよりも乗り換えが少なく、短時間で行けますので、大宮からムーミンバレーパークへ行く場合は大宮ー川越ー武蔵高萩ルートをおすすめします。

大宮周辺の埼玉旅行

 大宮駅周辺や大宮駅から短時間でアクセスできる場所にも数多くの旅行スポットがありますので、その一部を紹介したいと思います。

氷川参道・氷川神社・大宮公園・歴史と民族の博物館

 「氷川参道」「氷川神社」「大宮公園」「歴史と民族の博物館」は全てつながっており、一つの旅行スポットとみなすことができます。氷川参道の起点であるさいたま新都心をスタート地点とするのが理想的とは思いますが、2kmを全て歩く必要はないようにも思えます。大宮駅東口から徒歩6分ほどで、氷川参道のケヤキ並木が見えてきますが、ここがちょうど中間地点にあたります。ここをスタート地点として約1㎞20分程度を歩くのが良いかと思います。氷川神社に参拝し、すぐ裏手が大宮公園です。大宮公園は第1公園から第3公園まで合わせると非常に広大ですが、その大部分はスポーツ施設や芝生の広場ですので、全てを回る必要は全くありません。大宮公園で最大の見どころは園内にある「埼玉県立歴史と民族の博物館」です。現在改装のため休業中で、2023年秋にリニューアルオープンした際には行く価値があります。大宮公園は桜の名所としてもしられていますので、その時期には訪れるのも良いでしょう。子供がいる場合は、無料の小動物園や遊具施設などもありますので良いかもしれませんが、それほど特筆するようなものはありません。

氷川参道
写真8:氷川参道
氷川s参道2
写真9:氷川参道2
写真10:氷川神社
写真11:大宮公園
写真12:大宮公園2
埼玉県立歴史と民族の博物館
写真13:埼玉県立歴史と民族の博物館

鉄道博物館

鉄道博物館は大宮駅から徒歩20分ほどのところにありますが、ニューシャトルという鉄道で行くと便利です。ニューシャトルは大宮駅始発で、埼玉県伊奈町の内宿駅が終点の短い路線ですが、ゴムタイヤの車両と全路線が高架上を走っているという特徴があります。ニューシャトルの大宮駅は、JR大宮駅西口の北端にあります。ニューシャトル大宮駅を出て2分で、その次の駅「鉄道博物館駅」に到着します。

写真14:ニューシャトル大宮駅

 鉄道博物館は鉄道博物館駅のすぐ横に隣接しています。鉄道博物館は民間の博物館としては、スケール、展示内容ともに日本最高レベルのものがあります。古今の鉄道車両から歴史的資料、鉄道シミュレーター、子供向けの遊具に至るまで趣向をこらしており、鉄道マニアか否かにかかわらず、老若男女が楽しめる博物館です。

写真15:鉄道博物館
写真16:鉄道博物館2
埼玉大宮の鉄道博物館

盆栽村・盆栽博物館

 大正12年9月、マグニチュード7.9と推定される関東大震災により関東一円は大きな被害を負いました。東京は特に住宅密集による大火災により大打撃を受け、比較的ダメージの少なかった埼玉へ移住の機運が高まりました。浦和の別所沼に画家のコミュニティーができたこともその一つです。そして最も大がかりな移住が、東京の盆栽業者が大宮へ集団移住したことでした。大宮でできた盆栽業者のコミュニティーは盆栽村と名付けられ現在まで続いています。

 今や盆栽は海を越えて、世界中に愛好家がいるといわれています。大宮の盆栽村も海外からの訪問客が多く、平成22年には盆栽美術館も設立されました。

大宮を拠点とした埼玉県外の旅行ルート

 西日本や東北、北海道を出発地とした旅行の場合、大宮で宿泊することによりメリットがある、埼玉以外のおすすめのコースは以下のようなところがあります。

  • 日光への鉄道での旅行
  • 尾瀬へのバス旅行
  • 軽井沢への新幹線の旅行

大宮拠点の日光旅行

 栃木県の日光は北関東最大の旅行エリアです。東照宮などの寺社、華厳の滝や中禅寺湖などの自然景観ともに日本を代表する旅行スポットがひしめきあっています。大宮からであれば、日光は十分に日帰り圏内になります。大宮から日光へのアクセスは主に東武鉄道を利用することになりますが、JRでのアクセスも可能です。東武鉄道を使った場合、日光に隣接する鬼怒川エリアへの旅行も可能です。大宮ー日光間はさまざまなルートが考えられますが、もっともおすすめなのは、大宮から東武アーバンパークラインで春日部に行き、そこからスペーシアXという最新型の観光列車を使う方法です。

大宮起点の尾瀬旅行

尾瀬は日本最大の高層湿原で、ハイキングルートとしては人気、景観ともに日本でも最高水準といえます。尾瀬は、群馬県・栃木県・新潟県・福島県にまたがって広がりますが、いくつかの登山口を除き鉄道はもちろん、道路も無く、歩いていく他はありません。東京・新宿などから尾瀬の登山口までの高速バス・夜行バスがでていますが、それらの中で、最も尾瀬に近い乗車地が大宮です。大宮を出発地点とすることによって、東京、新宿よりも往復で3~4時間もバスの乗車時間を減らすことができます。尾瀬のメインルートは大清水・尾瀬沼・尾瀬ヶ原・鳩待峠をつなぐルートですが、すべてを踏破すると時間がかかり、ハイキングコースとしては中級以上となります。鳩待峠を下り尾瀬ヶ原へ入るとほぼ平坦な木道がつづきますので、初級者向けともいえます。また登山をする人にとってはルートの途中から燧ケ岳、至仏山という2つの日本百名山に、比較的容易に登頂することができることも押さえておきたいポイントです。

尾瀬 西日本から尾瀬への旅行
写真17:尾瀬

大宮拠点の軽井沢旅行

 軽井沢は長野県の代表的な避暑地で、見逃せない旅行スポットも数多くある場所です。軽井沢は大宮と新幹線でつながれており、最短35分で到着します。これは同じ長野県内の松本駅や長野駅から行くよりはるかに短い乗車時間です。軽井沢は循環バスなどもあり、軽井沢駅周辺だけではなく、広範囲が対象になります。大宮から出発した場合、日帰りでも十分に時間がとれるため、充実した旅行コースを作ることができます。

 これらのエリアは、いずれも東京からのアクセスは時間がかかりますし、宿泊費・交通費などのコスト面でも大宮が優れています。さらに大宮は、川越、ムーミンバレーパーク、長瀞などといった埼玉県の代表的な旅行エリアへのアクセスも便利ですから、全ての旅程を大宮で宿泊し、それぞれ日帰りで完結させるという旅行方法もあります。

 

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