かき氷ほど贅沢な食べ物は他にないでしょう。かき氷は、ご存じのとおりH2Oに過ぎません。確かに、水は人間にとってなくてはならないものですが、水をわざわざ凍らせ、それを細かく削って食べるのがかき氷です。その贅沢な「かき氷」の中でも、もっとも手間をかけ、贅をつくしたのが長瀞の阿佐美冷蔵のかき氷です。阿左美冷蔵が長瀞の枠を超えて、関東有数のかき氷店としての評価される要因は、もちろんかき氷の味や食感によるものです。しかしそれだけではなく、旅行スポットとして評価すべきは、その歴史、製氷法、氷のシェイビング、秘伝みつ、建物、インテリアなどの独創性です。長瀞に行くからには、必ず足を踏み入れるべき空間といえるでしょう。
名称:阿左美冷蔵 金崎本店(あさみれいぞう かなさきほんてん)
住所:埼玉県秩父郡皆野町金崎27-1
最寄駅:秩父鉄道 上長瀞駅 徒歩3分
営業時間:10:00ー16:30(氷極・蔦楽庵は16:00まで)
定休日:木曜日(氷極・蔦楽庵は水・木)
メニュー:かき氷、コーヒー、ドリンク等
長瀞アルプスの伏流水で作った天然氷のかき氷
阿左美冷蔵のかき氷は、全国でも数少ない天然氷を使ったかき氷です。天然氷というのは単なるキャッチコピーではなく、伝統的な製法によって作られた氷のことを指します。天然氷を作るには、良質な湧き水が大量に必要です。そして、大量の湧き水を完全に凍らせるには最低10日連続の氷点下の日がなくてはなりません。この二つを満たし、冬の数ヶ月の間に、一年間の消費量にあたる大量の天然氷を作り、保存しなければなりません。
天然氷産地の多くは北国や山岳地方がほとんどで、当時の大消費地だった江戸からは距離があります。長瀞や秩父地方は消費地に近いうえ、天然氷の質も優れているため、製氷が一つの産業として発展し、一時期は秩父、長瀞地方を合わせると10数軒の製氷業者があったそうです。
その後、電気冷凍庫の普及によって、氷は春夏秋冬問わず大量生産できるようになり、多くの伝統的な製氷業者は淘汰されましたが、秩父・長瀞地方で唯一伝統的手法で、天然氷の製氷を続けているのが阿左美冷蔵(あさみれいぞう)という会社です。つまり阿左美冷蔵は、長瀞でもっとも有名なかき氷店であるとともに、伝統的な製氷技術を持つ製氷業者でもあるということです。
阿左美冷蔵が天然氷を作る氷池は長瀞アルプスの宝登山の北東、長瀞町本野上高野沢にあります。長瀞の宝登山から続く500m前後の山は長瀞アルプスという呼び名があります。長瀞の平地からすぐ見上げる位置にあり、高さもそれほどでないことから、単なる里山のように思う人も多いですが、地形的に見るとかなり奥深い山々であることがわかります。関東平野と長瀞の間には外秩父山地があり、長瀞アルプスはそのさらに奥に位置する山地です。長瀞は決して雨の多い地域ではありませんが、樹林豊かな長瀞アルプスの地表は保水力に優れ、雨水は山の地層を潜り抜け、長い時間をかけて濾過されます。そのように濾過されながら山中を流れる水を伏流水と呼びます。その伏流水を氷池と呼ばれる人工の池に引き込み、冬の寒気を利用し作った氷が天然氷と呼ばれるものです。寄居町「埼玉県立川の博物館」が天然氷の作り方を解説していますので、その動画を見てみましょう。
阿左美冷蔵は、長瀞で代々天然氷を作ってきた製氷の家元、阿左美家の系譜を継ぐ会社ですが、現在の阿佐左美冷蔵は、天然氷以外にも機械を使った氷の製造ラインも持つ営利企業です。なぜ、利益を追求するはずの企業が一見すると非効率な伝統的製法を続けられるのかという疑問を持つ方もいるかもしれません。
簡単にいうと、阿左美冷蔵のビジネスモデルは完全に二つに分かれており、他の会社へ売る氷は機械を使った製氷、自社のかき氷店に使う氷は天然氷というように単純化できます。阿左美冷蔵の天然氷は最高級の品質であり、製氷機の氷では太刀打ちできません。最高品質の天然氷を、かき氷として使ったからこそ消費者の支持を得て、「阿左美冷蔵のかき氷」はブランド力を持つようになりました。それだけではなく、そのブランドは「長瀞のかき氷」として知られるようになり、長瀞エリアの他のかき氷店にまで波及しました。
阿左美冷蔵は、天然氷の品質だけではなく、天然氷からかき氷を完成させるプロセスにおいても試行錯誤を繰り返し、最高のかき氷を作り出しました。次節でその特徴を紹介します。
長瀞「阿左美冷蔵」のかき氷の特徴
阿左美冷蔵のかき氷は絶品です。かき氷の味や食感についてはなかなか客観的な説明は難しく、あくまで私の個人的な感想ですので、参考程度にとらえてください。
阿左美冷蔵のかき氷は、雪のように真っ白で、その外見だけでも普通のかき氷でないことは想像できます。遠目には白く見えますが、近くで観察すると、透明な繊維状の氷が複雑に組み合わせってできているのがわかります。雪も白く見えますが、透明な雪の結晶からできているのに似ています。
雪の降る地方にお住まいの方は、一度は雪を食べてみたことのある方も多いでしょう。雪の場合、意外と口溶けが悪く、中々溶けません。しかも雪の場合、後味も悪く苦味が残ります。雪と比べるのも失礼かもしれませんが、阿左美冷蔵のかき氷は、雪に比べシャリシャリとした歯ごたえがあります。しかし口に入れひと嚙みしただけで、綿あめのように溶けていきます。溶けるというよりも、口の中で氷の小さな粒子がはじけ、水に変わったように感じます。通常、固体の物質が融解点に達した場合、すべてがいっぺんに液体になるということはありえず、少しづつ変化するものです。長瀞のこのかき氷は、全ての水の分子が氷の状態から、瞬間的に水の状態へ変化する錯覚を覚えます。
普通のかき氷の場合、雪よりも更に口溶けが悪く、長時間氷の状態で口に残るため、頭痛のような症状を起こす場合があります。私も例にもれず、かき氷の類を食べると頭が痛くなり、それがかき氷を避ける原因でした。阿佐美冷蔵のかき氷は頭が痛くならないという評判を聞き、食べるまでは半信半疑でした。阿左美冷蔵のかき氷は高さ20cm程あり、かなりの大きさです。私はかき氷を少量食べただけで通常は頭がいたくなりますが、阿左美冷蔵のかき氷だけは、全部いっぺんに食べ切ったとしても、不思議なことに一度もその痛みを感じたことがありません。
かき氷の器はご飯茶碗よりも一回り小さい程度、トッピングの白玉や小豆からボリュームがだいたいわかっていただけると思います。メニューはいろいろありますが、どれを頼んでもかき氷自体はほぼ一緒で、シロップとトッピングが変わるだけです。シロップは必ず別の入れ物でついてきますので、プレーンの状態でかき氷を食べることができます。かき氷そのものの食感を味わうため、はじめはシロップをかけないプレーンのまま食べることをおすすめします。
トッピングやシロップは自分でかけることになるのですが、これがなかなか難しく、きれいにかけられず、装飾した状態でお見せできるような写真がありません。SNSなどでは、皆様はとても上手に装飾されていて、コツを教えてもらいたいものです。
長瀞「阿左美冷蔵」かき氷のメニューと価格
阿左美冷蔵の本店は本館・氷極(ひょうごく)・蔦楽庵(ちょうらくあん)という3棟の建物があり、それらに囲まれた中庭があります。訪問客は建物に入る前に、中庭の受付テーブルでメニューを見て、かき氷を注文します。かき氷のメニューのほか、喫茶メニューもありますが、今回はかき氷がテーマなので喫茶メニューについては省略します。
メニューにはかき氷だけで十数種類のっており、季節によってかき氷の種類は多少変動します。とはいえ、かき氷の本体は全て一緒で、シロップ、トッピング、盛り付けなどが違うだけです。
シロップはおおざっぱに分類すると、メインになるのは秘伝みつ・黒みつ・和風・フルーツ系の4種類です。
「秘伝みつ(ひでんみつ)」というのは、和三盆を使った阿左美冷蔵オリジナルのシロップで、阿佐美冷蔵かき氷の代名詞ともいえるものです。秘伝みつは常にかき氷メニューの最初に載っており、本店・支店ともに年中メニューから消えることはありません。メニューには4つの秘伝みつのかき氷が出ていますが、トッピングでついてくる「あん」の種類(粒あん・白あん・抹茶あん)が変わるだけです。
「黒みつ」は阿左美冷蔵かき氷のもう一つのこだわりのシロップで、沖縄黒糖を使ったものです。秘伝みつや和風のかき氷をオーダーした場合セットでついてきます。また、店舗で売っているお土産に「阿左美冷蔵ようかん」がありますが、このようかんの味付けにも黒みつが使われています。
和風シロップは本店の2023年版メニューでは、「抹茶みつ」と「きな粉みつ」の2種類ですが、過去には「ほうじ茶みつ」などもありました。
フルーツ系シロップは「いちご」「メロン」が定番で通年あり、「ぶどう」「みかん」「もも」、「マロン」などがあり、いろいろと入れ替わっています。
その他、「アールグレイ」、「ミルクキャラメル」、「塩キャラメル」、「ラムレーズン」、「さくら」など様々なオリジナルシロップが開発されており、期間限定や店舗限定としてメニューに登場します。
各商品の価格ですが、2023年メニューでは1300円から1600円の間です。トッピングに使う3種類のあんがついてくる「蔵元秘伝みつ極みスペシャル」という商品を除けば、1300円と1400円がほとんどです。
1200円の商品はメニューから消えましたので、1300円が現在のかき氷の基本価格と考えてよいでしょう。この価格を残念なことに高いと言う人がいます。確かにかき氷の原料となるのは水ですので、原価率を考えれば、高いと感じるのも無理ありません。しかし半年がかりで氷池を整備し、伏流水を引き込み、天然氷を作り、切り出して倉庫に保管し、それを店舗に搬送しかき氷に加工するという壮大なぜいたく品であることを考えれば、安いとも言えます。
そもそもかき氷を食べるという行為自体が贅沢なことであり、水分を摂取するだけであれば水をのみ、冷たさを感じるだけであれば氷を食べればよいだけのことで、かき氷の原価などを考えること自体がおかしな話です。かき氷自体に味はなく、その食感が全てです。絵画や彫刻の価値は視覚で、音楽の価値は聴覚で感じとるように、かき氷の価値は食感や口触りで感じとり評価する以外にありません。
一流の料理・一流のデザートと評価されるものは、味だけではなく、必ずといっていいほど口触りや舌ざわりの良さを伴います。人間は味覚が発達しているため、どうしても料理の味付けに左右されてしまいますので、口触りや舌ざわりの良さ・食感という部分だけを切り抜いて評価するというのはなかなか難しいものです。調味料を全く使わないとしても、肉・魚・野菜・米・小麦粉などほとんどの料理の原材料には何らかの味があります。
水だけは全ての食材の中で唯一完全な無味といって良いでしょう。そう考えるとかき氷を食べることは、口触りや舌ざわりといった感覚を単独で体験できる貴重な機会なのかもしれません。
長瀞旅行における阿左美冷蔵とかき氷
長瀞の旅行ガイドブックなどを見ると阿左美冷蔵のかき氷は100パーセントといって良いほど掲載されており、その扱いも年々ウェイトが高くなっている印象です。今や阿左美冷蔵のかき氷は長瀞岩畳、宝登山、ライン下りなどと並ぶ、長瀞旅行の主要コンテンツにさえなったといえます。
秩父鉄道の長瀞駅から線路を渡り、長瀞岩畳商店街を西へ抜けると、国指定天然記念物「長瀞岩畳」という名勝があります。長瀞岩畳は荒川の流れに沿い、そこから南へ500mほど続いています。長瀞岩畳の南端付近から、駅から続く南桜通りという道路に出て、さらに300mほど南へ進んだところに「カヌーヴィレッジ長瀞」「月の石もみじ公園」「埼玉県立自然の博物館」「養浩亭」「カヌーテ」といった旅行・アウトドアの関連施設が連なり、そのすぐ先の秩父鉄道の上長瀞駅(かみながとろえき)までは長瀞旅行における一つの旅行ルートになっています。この「長瀞駅ー岩畳ー上長瀞」ルートのフィナーレを飾るのが阿左美冷蔵のかき氷です。
阿左美冷蔵かき氷を含む長瀞旅行ルート1(金崎本店)
1.長瀞駅ー(徒歩5分)ー2.長瀞岩畳(1h)ー(岩畳を10分程度歩く)―南桜通りー3.月の石もみじ公園(30min)ー(徒歩1分)ー4.自然の博物館(1h)ー(徒歩10分)ー5.阿左美冷蔵金崎本店(1h)―(徒歩3分)ー6.上長瀞駅
この旅行のメインである「かき氷」阿左美冷蔵の最寄駅は上長瀞駅ですが、上長瀞駅から往復しただけでは、旅行の雰囲気を楽しむことができません。長瀞旅行と阿左美冷蔵金崎本店をつなげるには、長瀞駅から上記のコースを徒歩であるくのがベストだと思います。このルートは森と水に囲まれているため、炎天下の夏日であっても涼を感じることができ、そして最後のかき氷へと続きます。
図1の一番上の長瀞駅をスタート地点とします。線路を渡り長瀞岩畳商店街を突き当りまで進むと、岩畳へ降りる階段があります。実は長瀞駅から岩畳商店街の間には何軒ものかき氷店があります。それらの多くは阿左美冷蔵の氷を使用していると書いています。そのうたい文句には偽りはなく、阿左美冷蔵が製氷し、阿左美冷蔵と同じ長瀞の天然水を使ってできた氷ですが、天然氷ではありません。天然氷を使っているのは阿左美冷蔵の直営店のかき氷だけです。
長瀞岩畳長瀞岩畳は舗装された道があるわけではありませんが、平坦な岩が多いため、それらの岩を伝っていけば、比較的簡単に移動できます。しかし今回のコースを使う場合は、多少距離や段差があるため運動靴など歩きやすいものが良いでしょう。不整地歩きに自信のない人は、いったん商店街に戻り、全て舗装された南桜通りを歩いていけば問題ありません。岩畳を歩いた場合も、結局はどこかで南桜通りに戻ることになります(そのまま荒川の河原を歩き通して、阿左美冷蔵付近まで行くことも可能ですが、今回はふれません)。南桜通りは、サクラの木を中心とした樹林に囲まれており、桜の時期以外でも気持ちの良い散歩道です。
図1の3が「月の石もみじ公園」、4が「埼玉県立自然の博物館」です。この二つは南桜通りをはさんで向かい合っていますので、どちらを先にしても大丈夫です。月の石もみじ公園は紅葉で有名なスポットですが、虎岩(とらいわ)というめずらしい岩があり、一見の価値があります。荒川にも接しており、遊歩道で河原にでることができますが、その部分に虎岩があります。この岩は地中20㎞以上の深さでないと生成されない岩石が地表に現れたもので、地質学にも造詣が深い宮沢賢治が注目し、歌にまで詠んでいたことでも知られています。
埼玉県立自然の博物館は、埼玉県に5つある県立博物館の一つで、川の博物館や歴史と民族の博物館に比べると規模は小さいですが完成度は高く、ジオパーク秩父の情報基地のような役割も果たしています。最も目を引くのは、古代ザメの等身大模型と絶滅したパレオパラドキシアの骨格標本で、その他恐竜、アケボノゾウの骨格標本やジオラマ、地質、岩石、化石などの標本など充実した内容です。
埼玉県立自然の博物館前から少し進むと南桜通はカーブを描き、上長瀞駅前のY字路に出ます。暑い日であれば、この辺でかき氷が待ち遠しくなってくるころでしょう。Y字路左の踏切を渡ってすぐの、国道140号線沿いに阿左美冷蔵の金崎本店はあります。上長瀞駅から阿左美冷蔵は徒歩3分ほどでつきますが、上長瀞駅は秩父郡長瀞町(ながとろまち)、阿左美冷蔵は秩父郡皆野町(みなのまち)に属します。皆野町は長瀞町と秩父市の中間にある町で、当サイトでは長瀞エリアに分類しています。長瀞駅周辺とは違い、上長瀞駅周辺には阿左美冷蔵以外、かき氷店は一軒も見当たりません。さすがにかき氷の蔵元、阿左美冷蔵の近くでかき氷店を開くのは畏れ多く、誰も挑戦しないのかもしれません。
阿左美冷蔵の金崎本店は写真6の場所から入ります。かき氷の文字が見えますので国道からでもすぐわかります。建物は3つあり、写真の手前に見えるのが蔦楽庵(ちょうらくあん)、奥に小さく見えるのが氷極(ひょうごく)、この写真では見えませんが、左奥に中庭があり、その更に奥が本館です。いずれもかき氷の提供がメインです。金崎本店の本館は木曜日のみが定休日ですが、氷極と蔦楽庵は水・木が定休日です。本館が一番収容力があり、本館奥の庭園にもいくつか座席があります。中庭や庭園は、日本式の庭園の要素はほとんどなく、だからといって洋風でもなく、全くのオリジナルです。この場所は、荒川河畔の森林だった場所で、庭園というよりも、森林を切り開いて庭を作ったようなイメージです。居心地の良い空間ですが、ほんのわずかばかり何かが足りないようにも感じます。この空間に「かき氷」を置くことによって、画竜点睛、完璧な空間へとかわります。
巡ってきた今回のルートから考えると、荒川からかなり離れているように感じますが、この場所は国道140号線と荒川が最も近づく場所で、阿左美冷蔵のすぐ近くを荒川が流れています。樋口駅から野上駅・長瀞駅・上長瀞駅と続く秩父鉄道は、一貫して国道140号と荒川の間を通っていますが、上長瀞駅を過ぎたあたりの橋で荒川を渡り対岸へ向かいます。この橋が大正3年に作られた荒川橋梁(あらかわきょうりょう)で、鉄道撮影の名所になっています。阿左美冷蔵の裏手から荒川に降りられますので、かき氷を食べた後で、時間があれば見に行くことをおすすめします。
阿左美冷蔵は一つのかき氷店としては、敷地面積、収容人員ともに格段に大きいのですが、それでも満席で空席待ちの列ができる場合があります。そのため、旅行コース全体として通常であれば4時間程度でまわれますが、余裕をもって5時間程度を予定しておき、時間が余った場合、荒川におりて荒川橋梁など散策するのが良いと思います。
阿左美冷蔵かき氷を含む長瀞旅行ルート2(寶登山道店)
ここまでのかき氷はすべて、阿左美冷蔵の本店のかき氷について書いてきましたが、阿左美冷蔵には別にもう一店舗「阿左美冷蔵寶登山道店」というかき氷店があります。長瀞旅行で考えた場合、むしろこちらの、支店にあたる「寶登山道店」が長瀞旅行のメインルート上にあるといえます。秩父鉄道長瀞駅を降りた旅行客が向かう導線は、長瀞駅の東西のライン上にあり、東から長瀞岩畳、岩畳商店街、長瀞駅、寶登山神社参道、寶登山神社、宝登山ロープウェイと並んでいます。長瀞の大半の旅行関連施設や飲食店、土産物店なども、この東西ラインの範囲にあり、阿左美冷蔵も例にもれず、このラインのど真ん中にかき氷店を構えています。
名称:阿左美冷蔵 寶登山道店(あさみれいぞう ほどさんどうてん)
住所:埼玉県秩父郡長瀞町大字長瀞781-4
最寄駅:秩父鉄道 長瀞駅 徒歩4分
営業時間:10:00-16:30
定休日:火曜日
メニュー:かき氷、コーヒー、ドリンク等
寶登山道店は金崎本店と同一の天然氷のかき氷を使っており、氷のシェイビングも全く一緒です。メニューもほぼ一致していますが、一部メニューに寶登山道店オリジナル商品があります。まったく違うのが店の雰囲気で、写真12からもわかるとおり、現代風のカフェといった様相です。
1.長瀞駅ー(シャトルバス5分)ー2.宝登山ロープェイ山麓駅ー(ロープウェイ5分)ー3.宝登山山頂散策(1h)ー(ロープウェイ5分)ー山麓駅ー(徒歩5分)ー4.寶登山神社(30分)ー(徒歩3分)ー5.長瀞トリックアート(30分)ー(徒歩4分)ー6.長瀞郷土資料館・旧新井家住宅・長瀞蔵・花の里(1h)ー(徒歩2分)ー7.阿左美冷蔵寶登山道店(1h)ー(徒歩5分)ー長瀞駅
このコースのポイントとしては、一番最初に長瀞駅から無料のシャトルバスを使い宝登山ロープウェイの乗り場へ行くという点です。長瀞駅からロープウェイ山麓駅は約1.5kmですので歩いて20分~30分程度ですが、やや上り坂になっていますので、行きはシャトルバスを使い、逆に下り坂になる帰路を歩いて長瀞駅に戻るというパターンがおすすめです。このシャトルバスは以前からありましたが、平日は不定期運行という扱いだったため、計画に入れにくいものでした。関係者に確認したところ、2023年の「長瀞トリックアート」の開業にともない、平日も毎日運行の扱いになったということですので、安心して計画に入れられます。
シャトルバスは宝登山ロープウェイの営業時間内(9:40~17:20)、繰り返し何度も往復します。乗車時間は片道5分程度ですが、各停留所(長瀞駅、長瀞トリックアート、山麓駅)での客待ち待機時間があるため、20分に一本ほどの間隔です。
長瀞のロープウェイロープウェイを降りたあと、寶登山神社へ下る小道がありますので、これを下るのが近道です。寶登山神社を出てすぐの所に、最新の観光施設「長瀞トリックアート」があります。
長瀞トリックアートは2023年2月にオープンしたばかりのトリックアート美術館ですが、それまでは「有隣倶楽部」という長瀞を代表する食事処でした。有隣倶楽部は渋沢栄一直筆の書、庭園、そして昭和3年に建てられたこの建物自体が由緒あるもので、多くの人を魅了しましたが、トリックアート美術館に模様替えしても、それらは変わらず見ることができます。
6.の4つの旅行スポットはすべて一か所に固まっているので、移動時間は考える必要なく、任意の順で巡ることができます。長瀞郷土資料館とその一部である旧新井家住宅は、小さいながらも長瀞地方の貴重な歴史的史料の宝庫です。長瀞を代表する酒蔵「長瀞蔵」は駐車場をはさんで、そのすぐ向かいにあります。そしてその同じ駐車場から5~6月にはハナビシソウで埋め尽くされる「花の里」に入れます。
ここまでの旅程で約4時間弱です。ここから2分の場所に最終目的地の長瀞かき氷「阿左美冷蔵寶登山道店」はあります。本店との違いは、阿左美冷蔵以外のかき氷店が近くに多数存在するということです。長瀞のかき氷は、阿左美冷蔵以外にも名店揃いであり、阿左美冷蔵の行列がひどい場合は、他店に変更するという手段もとることができます。