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埼玉旅行 雨天対策

埼玉県は晴天率は高いが、旅行において雨天対策は必須

 埼玉県は晴天率の高い地域と言われてきました。気象庁が毎年天気出現率という数値を発表しており、埼玉県は上位の常連です。1962年には埼玉県ときがわ町の堂平山に国立天文台が作られましたが、埼玉県の晴天率の高さが、場所選定の理由の一つでした。

 旅行において晴れる日が多いということはありがたいことです。曇りの日に比べ、晴れた日は風景が色鮮やかで、記憶にも写真にも鮮明に残ります。ただし、晴天率が高いことと雨が少ないことはイコールではありません。一雨降って、空気が澄み渡り快晴になるというのはよくあることです。埼玉県に限りませんが、近年多く見られるようになったのは、極地的な雨や、突然のにわか雨などです。昔に比べ、天気予報の精度は高くなりましたが、それでも完全に当てにできるわけではありません。長期予報はさらに精度は低く、旅行を計画した段階で天気予報は「晴れ」であっても、旅行近くなると「雨」の予報に変わることはしばしばあります。埼玉旅行においても何らかの雨天対策は必須といえるでしょう。

長期天気予報が「雨」でも旅行の基本は早めの予約

 近場の旅行であれば、前日の天気予報を見て、行先を決めるようなこともできなくはありませんが、遠距離の旅行や宿泊を伴う旅行はそうもいきません。多くの場合、事前にスケジュール調整をし、ホテルや航空チケットなども予約済みです。天気予報が雨に変わったからといって、旅行を中止にするわけにはいかない人がほとんどでしょう。

 天気予報などを気にして、早めの予約をためらう人も多いようです。しかし休暇が決まりスケジュール調整が出来た段階で、長期天気予報の雨予報は気にせず、最低限ホテルと飛行機、新幹線などはいち早くするべきと、私は考えています。予約を早めにするメリットは多いですし、ホテルや飛行機は早く決めたほうが気が楽で、現地での旅行計画に意識を集中することができるからです。

旅行と予約についての総括

旅行時の雨天対策の考え方

 長期の天気予報に関わらず、雨対策が必要なのは埼玉旅行だけではなく、全ての旅行に言えることです。雨対策の方向性としては2つに分かれます。

 一つは旅行を計画する段階で、雨が降った場合、旅行スポットを即座に変更できるような、柔軟な旅行プランを作ることです。アウトドア型の旅行スポットから屋内施設に変更するというのは、まず最も考えられる雨天対策です。

 もう一つは、防水グッズやレインウェアなどによって雨や湿気を防ぐのも重要です。例えば、晴れの予報であっても、ハイキング中に突然豪雨に見舞われるような場合、これらのレインウェアや防水グッズでしか対応できません。逆に言えば、レインウェア、衣類、防水グッズを完璧にそろえれば、多少の雨であっても屋外の観光施設やアウトドアアクティビティを快適に楽しむことができるということもできます。

 そして、「旅行プランにおける雨対策」と、「持ち物・衣類などにおける雨対策」は、非常に関連しています。旅行日程中にどこに行くか、何をするかによって、最も適した持ち物や衣類は当然変わります。

 旅行に持っていけるものは限られていますが、雨だけではなく、いろいろな場面を想定しなければなりません。熱中症対策、防寒対策、日光対策、虫刺され対策、医薬品関係、バッテリー関係、着替えなど考えることはたくさんあり、これらと同時に雨天対策をしなければなりません。これらを完璧にしようとすればするだけ、荷物は増えます。これらのグッズ・用品は旅行プランに合わせ、最低限の容量・重さにすべきです。

 雨天対策だけを考えても、さまざまなものがあります。レインウェア・傘・速乾性の衣類、トレッキングシューズ、帽子、リュック、リュックカバー、スパッツ、スマホなど電子機器の防水ケース、防水時計、防水カメラ、防水スプレー、各種防水収納袋、タオル、濡れた衣類を入れる袋、ヘッドランプなど状況次第で必要なものを入れるときりがありません。

 どこかで妥協したり、取捨選択する必要がありますが、それは旅行プラン作成時にある程度決まります。長期天気予報から「晴れ」から「雨」に変わったからといって、直前にこれらをそろえるのは大変です。旅行プラン作成時に、雨の場合を想定して、入れ替える旅行スポットを考えておき、入れ替えた旅行プランに合わせ、必要最低限の雨天対策グッズをそろえるというのが旅行の雨天対策における基本的な考え方です。なるべく無駄な持ち物は減らし、現地調達できるものは現地調達するというのは旅行における定石です。

埼玉旅行における雨天対策

 雨天対策は、全ての旅行において一つのパターンに収まるものではありません。巡る旅行先や、旅行先での行動によって、持っていくべき雨天グッズは異なります。これから埼玉旅行をするのであれば、その各旅行エリアの特色を踏まえてたうえで、雨天対策をすべきでしょう。

 まず埼玉県の三大旅行エリア、川越エリア・長瀞エリア・秩父エリアの雨天対策を考察し、そのあと宿泊の拠点となる池袋・大宮と、埼玉県のそれ以外の旅行エリアでの雨天対策を考えてみます。

川越エリアの雨天対策

 埼玉旅行の三大エリアのうち「秩父」と「長瀞」は山に囲まれ、アウトドアアクティビティも豊富で、それが埼玉旅行全体のイメージにつながっています。しかし、もう一つの川越エリアは正反対です。川越は「小江戸」と呼ばれることがある通り、古い街並みで有名です。「蔵造りの街並み」と「菓子屋横丁」などの商店街、喜多院、川越氷川神社などの寺社、本丸御殿、博物館、美術館などを巡るのが川越旅行のメインのルートです。川越エリアでの雨天対策は、本格的なアウトドア装備などは全く必要ありません。ただ、最低でも折畳み傘か簡易的なレインウェアは用意しておいたほうが望ましいといえます。

 川越の旅行スポットは、ほとんどが屋内施設ですが、一ヶ所ごとの規模は小さいため滞在時間は短く、次々と各名所を巡っていくような旅行スタイルになります。これらを歩いてまわるとすれば、屋外で過ごす比率はかなり高くなります。ほとんどの道は平坦で坂道はほとんど無く、舗装されているため、普通の街歩きと同じ感覚で散策できます、多少の雨であれば傘をさしての観光でも問題ありません。

 主な旅行スポット間は、旅行者用の巡回バス(東武バス「小江戸名所めぐりバス」・イーグルバス「小江戸巡回バス」があり、実際はバスの利用が増えます。西武新宿線の「本川越駅」からであれば川越観光の中心地「蔵づくりの街並み」へは歩いてすぐですが、JR線と東武線「川越駅」から川越の旅行エリアまで多少距離がありますので、雨天の場合、バス移動を推奨します。東武バス・イーグルバスとも低額の一日乗車券(東武大人400円小児200円・イーグル大人500円小児250円)があり、バスを小まめに乗り降りして各旅行スポットを移動する人が多いようです。

 川越の巡回バスのバス停には屋根がついていないところが多く、雨天でも観光客は多いため、バス待ちで並んでいるときに隣の人の傘から流れる雨があたることがあります。蔵づくりの街並みも歩道が狭いわりに人が多く、傘と傘がぶつかることが多いですので、傘よりもレインウェアを着用したほうが、スムーズにまわれることは間違いありません。

 旅行時のレインウェアについては別途紹介しますが、いろいろな種類があります。コンビニなどに売っているレインウェアは大きくわけて二種類あり、ビニール製のものと、ナイロン製のものです。川越エリアで使用するレインウェアは、そのようなコンビニなどの安価なレインウェアで十分といえますが、それぞれ欠点があります。ビニール製のものは、雨は完全にブロックできますが、汗をかいたり長時間来ているとレインウェア内部が蒸れたり、結露したりする点です。ナイロン製は、蒸れや結露は少ないものの、長い時間、雨を浴び続けていると、水がしみてくることがあります。

 川越にはコンビニが多くありますが、雨天時に傘や雨具をコンビニで入手することは期待しないほうが良いと思います。このような観光地全般に言えますが、事前に雨具や傘などを用意していない観光客は非常に多く、突然雨が降った場合、すぐに売り切れてしまいます。もし事前に雨具・傘を用意しないのであれば、観光ルート外のコンビニの位置も数件は把握しておいたほうが良いと思います。

 その他、川越での旅行では、舗装道路とはいえ屋外での行動が多くなることから足元の防水対策はしっかりとしたいところです。屋内と屋外を出たり入ったりが多く予想されるため、傘やレインウェアを拭くためのタオルなどもあると便利でしょう。写真撮影などする場合は、機器の防水も忘れないでください。

長瀞エリアの旅行スポットとアクティビティでの雨天対策

 長瀞エリアは晴天時であれば、山のハイキングコースを除き、普通の街歩きのスタイルで問題ありません。雨天対策としても、折り畳み傘程度でも十分まわることができます。しかし雨天時は一部注意が必要な旅行スポットがあります。

 まず長瀞の代表的なアクティビティである川下り、ラフティング、カヌー、スタンドアップパドルボードなどは基本的には雨天時でも可能です。もともと水を浴びることを前提にしたアクティビティですので、多少の雨は問題ありません。ただし大雨、強風、増水などは、運営会社の判断で急遽中止になる場合があります。これらのアクティビティを計画している場合は、雨で中止になる可能性も考え、雨天時でも楽しめる代わりの旅程、代替案も、事前に用意しておくべきです。

長瀞のライン下り

 宝登山ロープウェイからの山頂付近、寄居町の鉢形城、皆野町の美の山公園は、通常であれば普段着でも問題ありませんが、これらの旅行スポットは傾斜があり、未舗装の部分が含まれます。雨天時は靴やズボンが汚れたり、スリップすることもありますので、雨天対策が必要です。基本的には、川越の雨対策と同等でも大丈夫と言えますが、低山とはいえ、山の山頂部ですので傘は推奨しません。山の山頂部は、平地に比べ強風や落雷の危険性が高く、雨天時の「宝登山ロープウェイ」「美の山公園」はレインウェアが推奨です。屋外での滞在時間でいえば、川越などで観光するよりもむしろ少ないですので、ビニールのレインウェアでも十分といえます。ビニール製レインウェアでもポンチョタイプのものと、上着とズボンにわかれたセパレートタイプのものがありますが、泥で足元が汚れたり、スリップして転んで泥だらけになることもあり得ますので、セパレートタイプが望ましいでしょう。

長瀞のロープウェイ

 長瀞エリア南部、皆野町に「秩父華厳の滝」という場所があり、雨で水量が増えると迫力が増すのは確かですが、多少危険です。滝自体は車道から数分歩けばすぐ見れ、特段危険な場所ではありませんが、一部、岩の上を歩く場所があり、少量の雨でもスリップするリスクがあります。山歩きに自信がない人は雨天時は避けた方が良く、ここは雨天時非推奨にしておきます。

 また秩父華厳の滝のすぐ近くに、秩父34ヶ所の最後の寺、水潜寺があります。この寺一つで、西国33、坂東33、秩父34の計100ヶ所の寺に行った分の願いが叶うと言われており、ここまで来たらぜひ訪れたい場所です。この寺は破風山という山の登山ルート上にあり、といっても登山口付近なのでそこまでは整地が行き届いていますが、雨天時はハイキング程度の装備は念のためしていくべきだと思います。

 宝登山ロープウェイを除く長瀞アルプスや、外秩父山地、破風山などのハイキングは登山装備が必要です。天候に関わらずレインウェア、スパッツなどはもとよりヘッドランプ、地図、コンパス、非常食なども携行すべきでしょう。

 長瀞エリアの雨天でも問題ない旅行スポットとして、長瀞駅周辺では岩畳商店街や宝登山参道付近の「長瀞郷土資料館」「長瀞蔵」「長瀞トリックアート有隣倶楽部」などの施設と、上長瀞駅周辺では埼玉県立自然の博物館があります。これら長瀞駅から宝登山参道、上長瀞駅周辺のスポットは全て舗装道路でつながっており、一巡すれば、雨の日でも十分に楽しめるボリュームになります。長瀞エリア北部では寄居町の埼玉県立川の博物館、「ふかや花園駅」の「ふかや花園プレミアムアウトレット」「深谷テラス」がおすすめです。「長瀞岩畳」については、岩が濡れるとスリップこともありますので、雨天時はあまり川に近づかず、少し遠くから眺めるべきでしょう。

埼玉県立「川の博物館」 深谷テラス:長瀞旅行の途中で寄れる観光地

秩父エリアの旅行スポットとアクティビティでの雨天対策

 西武秩父駅、御花畑駅、秩父駅周辺であれば全く街歩きと同様と考えて大丈夫です。秩父銘仙館、秩父まつり会館、秩父神社、秩父美術館などはほぼ平坦な舗装道路を歩くだけなので問題ありません。いずれも雨天でおすすめの旅行スポットといえるでしょう。

 秩父市街地に近い旅行スポットで判断が難しいのは、羊山公園と秩父ミューズパークです。訪れてみると、両者とも平坦な公園のように感じるかもしれませんが、実は両者とも山です。

 まず羊山公園ですが、雨天時いちばん注意すべき場所は「牧水の滝」です。滝自体はごく小さな人工滝で、車道から徒歩1、2分で着きますが、以外と傾斜が強く未舗装です。距離はわずかですが登山道と言っても良い道です。

 羊山公園で最も有名なのは「芝桜の丘」で、4月後半から5月前半の短い期間が見頃ですが、雨天でも基本には開園しています。「武甲山資料館」と「やまとーあーとみゅーじあむ」は屋内施設です。その途中にある「ふれあい牧場」「見晴しの丘」を含め、羊山公園内の各施設は舗装道路でつながれているため、多少の雨であれば問題ありません。ただ多少傾斜があるため靴は歩きやすい運動靴などを選んだほうが良いです。

 羊山公園で最も傾斜の強い場所は園内ではなく、西武秩父駅から住宅街を抜けて公園へ登る舗装された坂道です。羊山公園は西武秩父駅から直線距離にすると500メートルほどしかありません。しかし傾斜が強く、つづら折りの車道に沿ってあるくため20分程度かかります。雨天時は西武秩父駅からタクシーを使うのもひとつの手です。

 一方、秩父ミューズパークは駅から歩くのは大変で、標高差もあるため、ほとんどの人はバスや車で行きます。ミューズパークは長尾根という標高400mの低山の山頂部にある巨大な公園と思ってください。秩父ミューズパークは南北に長く3kmありますが、両端のあいだはスカイロードという歩行者専用の道(自転車、スカイトレインの通行有)で繋がれています。このスカイロードは秋になると金色に染まるイチョウ並木の気持ちの良い道で、ミューズパークの南口をスタート地点とすると、緩やかに降る歩きやすい道で、レンガ風のブロックで舗装されているため雨でも問題ありません。ただ、このスカイロードを歩いただけでは、秩父ミューズパークの魅力のほんの一端に触れたに過ぎません。秩父ミューズパークの魅力は、登山、ハイキング、自然、体験型アクティビティ、展望、イベント、スポーツ、アウトドア活動、歴史的建造物といった、屋外型旅行のほぼ全ての要素がそろっており、各人が思い描いた旅行をミューズパーク内部だけでコーディネートできるところにあります。反面、秩父ミューズパークは屋外旅行スポットの集合体であることから、一般的には雨天に向かない観光地と考えられています。

 しかし、雨天の中でアウトドア体験をするフィールドとしては、秩父ミューズパークは最適ということもできます。例えば、登山やハイキングを長年やっていると、雨をまぬがれることは不可能で、必ずどこかで雨に遭遇します。そうした場合を想定して、雨天時の野外生活に慣れておく必要があります。

 またレインウェア、トレッキングシューズ、リュックなどの防水性能や使いやすさをチェックしておく必要があります。そのようなアウトドア用品のテスト環境としては秩父ミューズパークは適しています。

 秩父ミューズパークのハイキングコースは標高300mから400mという多くの低山と同様の高地にあります。それなりにアップダウンがあるとともに、非常に整備が行き届き登山道としては一級品です。これから登山を始めたいという人にとっては、西武秩父線沿線や長瀞の低山、あるいは高尾山などといった入門向きの低山より、さらに入門者に適したハイキングコースです。

 それとともに登山用品の雨天時の性能を試すのにも絶好の場所と言えます。また野外宿泊においても、「PICA秩父」という施設があり、ここも初心者にはもっとも適したコテージと言えますが、同様に雨天時の野外生活を体験するにも最適で、入浴設備まで用意されています。アスレチックの「フォレストアドベンチャー」、カートレースの「F1リゾート秩父」、プール、レンタサイクル、テニスなど、ありとあらゆる環境で、雨天グッズの性能をテストすることが出来ます。これらの施設は基本的に雨天も営業していますが、状況次第で運営側が危険と判断したい場合は急遽クローズする場合があります。バギーや屋外シューティングゲームが楽しめる「ソト遊びの森」については雨天は基本営業しませんので注意してください。

 これら全ての施設とハイキングコースが、平坦に舗装された散歩道「スカイロード」と、それと並行するバス路線からすぐ近くにあるというのが、雨天時においても強みです。スカイロードには雨天をしのげる売店などの建物が多数ありますし、バス路線の一般道を歩いて下れば30分ほどで市街地に出られます。このように天気が荒れた場合にすぐ逃げられる場所、いわゆるエスケープルートが上にも下にも充分に用意された秩父ミューズパークは、雨天のアウトドア体験するには最良の旅行スポットととらえることができるのです。

 秩父ミューズパークで雨天時に軽ハイキングを楽しむには、秩父・長瀞の山々と同様、万全の雨天対策が必要です。万全の雨天対策とはレインウェア、トレッキングシューズはもちろん、スパッツ、ザックカバーなどの小物からインナーウェアまで完全に対策をすることです。これらについては、次節以降で個々に取り上げます。

 羊山公園と秩父ミューズパークに共通して言えることは、どちらも山の尾根の頂上に作られた公園であり、牧水の滝周辺、秩父ミューズパークのハイキングコースという一部の例外を除き、ほとんどが舗装されていますので、足元をそれほど気にせず観光は可能です。しかしその場合も、傘だけはやめてください。長瀞エリアの雨対策の項の宝登山や美の山公園と同じ理由です。山の稜線も、平地に比べ、強風や落雷の可能性が多く、強風は傘がききませんし、落雷に傘をさすことは危険といわれています。スカイロードなどを歩くだけであっても、最低でも簡素なレインウェアは用意しておいたほうが良いでしょう。

 さて秩父旅行といえば忘れては言えないのが、鎌倉時代から続くといわれる秩父三十四か所の札所巡りです。札所巡りは秩父旅行の原点であり、今なお巡礼者・旅行者が多い現役の人気旅行コンテンツとも言えます。結論からいうと、各寺を訪問するだけであれば雨天でも問題ありません。全ての寺院に駐車場が完備されていますので、タクシーやレンタカーを利用すれば簡単に行くことができますし。バスや鉄道、徒歩のみで行くとすれば、多少アクセスしずらい寺もありますが、基本車道沿いに歩くだけです。雨天時の注意点として、境内に急傾斜の石段がある寺がいくつかある点でしょう。万が一雨で滑って転げ落ちると大けがする恐れがあり、できれば傘は避け、荷物はリュックに入れ両手の空いた状態で上るべきです。ほとんどの寺は危険個所もなく、雨天時でも問題ありません。

 秩父三十四か所は、西国33か所、坂東33か所に比べるとはるかにコンパクトでまわりやすいのですが、それでも1番から34番までを一巡すると約90kmほどあり、一回の旅行で徒歩で全部まわるのは不可能と考えたほうが良いでしょう。各札所の間には室町・江戸時代につくられた巡礼道もかなりの部分が残っていますが、現在は普通の山道とかわりませんので、巡礼道を歩く場合は、雨天にかかわらず登山装備相当の準備は必要です。

埼玉のその他旅行エリアでの雨天対策

 埼玉旅行の拠点となる「池袋」と「大宮」は、いずれも雨天時も楽しめる屋内旅行スポットに恵まれています。交通と宿泊施設の充実度もさることながら、雨天時の旅程変更への対応しやすさの面でも、この2拠点は非常に優れています。

 まず池袋駅は東武百貨店、西武百貨店、パルコ、エチカ、エソラなどの商業施設が駅直結で、雨に濡れずショッピングできます。これらを周遊すれば、傘すらささずに丸一日の旅程を組むことができます。

 ショッピング以外でいうと、池袋にはサンシャインシティという大型複合施設があり、館内に多くの見どころがあります。「サンシャイン60展望台てんぼうパーク」「ナンジャタウン」「コニカミノルタプラネタリウム満天」「サンシャイン水族館」「古代オリエント博物館」「バンダイナムコクロスストア」など、それぞれが一つの旅行スポットといえるものが、ここサンシャインシティに集合しています。地下鉄有楽町線の池袋の隣駅、東池袋駅から地下通路で繋がっているため、雨にぬれる心配もありません。

 JR池袋駅からJR上野駅は山手線で17分ほどです。上野駅公園口を出た上野公園周辺は、雨天時の屋内旅行スポットとしては理想的ともいえる大型博物館・美術館が多数そろっています。

 一方、大宮で雨天時にもっともおすすめのスポットは鉄道博物館です。博物館としての規模が大きく、鉄道ファンだけではなく、一般の旅行者も楽しめます。滞在時間5時間程度は過ごせるボリュームの展示内容です。大宮駅から歩いて20分の場所ですが、雨天時はニューシャトルという鉄道に乗り、駅1の鉄道博物館駅で下車し、駅舎のすぐ隣にあります。

埼玉大宮の鉄道博物館

 大宮のもう一つ博物館「埼玉県立歴史と民族の博物館」も2、3時間滞在できる内容があります。現在全館改装のため休業中ですが、2023年10月にリニューアルオープンが予定されています。

 池袋に比べると規模は小さく地下街もありませんが、「大宮駅」とその隣駅「さいたま新都心駅」付近にはデパートやショッピングモールが多く、雨にほとんど濡れずにショッピングができます。

 JR大宮駅からJR埼京線で南に5駅の武蔵浦和駅で、JR武蔵野線へ乗り換えることができます。武蔵野線で旅行面で注目は「東所沢駅」「越谷レイクタウン駅」で、いずれも雨天時の代替案として絶好の場所です。

 東所沢の「角川武蔵野ミュージアム」、越谷レイクタウンの国内初のインドアスカイダイビング施設「フライステーション」はいずれも屋内施設で、埼玉県の新名所といえるところです。角川武蔵野ミュージアムは建築家隈研吾が設計した巨大な岩石のような外観、本棚劇場などのコンテンツの独自性・独創性が際立っています。フライステーションも全国ここでしかできないアクティビティで、風圧で身体を浮遊させるという方式ですので、スカイダイビングともまた異なり、類似の体験すらできる場所は他にありません。雨天時に限らず、旅程に組み込むことを検討すべき2つのスポットといえます。

 埼玉旅行で近年もっとも注目されている場所は「ムーミンバレーパーク」と「スタジオツアー東京メイキングオブハリーポッター」でしょう。

 ムーミンバレーパークは池袋と秩父エリアの中間、飯能エリアに位置します。ムーミンバレーパークは、雨天時には屋内部分だけを楽しむという方法もありますが、宮沢湖と森林の屋外の景観も大きな部分をしめますので、雨の日も自由に散策したいものです。雨天時の森と湖は晴天時とは違った魅力があります。ムーミンバレーパークはその楽しみ方によって2通りの雨天対策があります。ムーミンバレーパークの施設の多くは中心施設であるコケムスの近辺にあります。これらと、無料エリア「メッツァビレッジ」の屋内施設を行ったり来たりするだけでも十分楽しめ、その場合は折り畳み傘だけでも大丈夫です。

 もう一つは雨のムーミンバレーパークと宮沢湖を満喫する楽しみ方で、その場合、機能性の高いレインウェアを着用し、十分長い時間をとって縦横無尽に歩き回ることです。

 「スタジオツアー東京メイキングオブハリーポッター」は池袋駅から西武豊島線で5駅の豊島園駅から徒歩2分ですので、雨天時の恰好の旅行対象ですが、完全予約制ですので、他の旅行スポットの代わりに急遽入れるわけではありません。スタジオツアー東京メイキングオブハリーポッターを旅行プランに入れるためには、事前に公式ホームページから予約を確保しておく必要があります。もちろん、直前でもキャンセルなどで空きが出る可能性がないとはいえませんので、直前であっても予約にトライしてみる価値はあります。

旅行における雨のリスク等とその対策

 いままで書いてきた雨天対策は、ある程度のレベルの雨までで、台風などによる豪雨や暴風雨などはその限りではありません。まず最も最悪な場合を考えると、風雨、雷雨などの大規模な災害です。交通機関の乱れや運休もありえますし、道路の水没、それに伴う旅行関連施設の臨時休業もあり得ます。また通信障害が起こることもあります。携帯、スマホなどが旅行で活躍する時代になったことで、通信障害も無視できない問題です。

 そこまでの大雨ではなくても、衣類が濡れて風邪をひいたり、長時間濡れた衣類をつけていると体温が奪われ低体温症などの健康被害が起きる場合もあります。雨天には気圧の変化をともなう事も多く、それによって体調を崩す人もいます。

 雨による衣服の汚れも、旅行時には気をつける必要があります。日常生活であれば雨でどんなに汚れても、自宅に帰れば新しい衣類に着替え、次の日には何事もなかったように過ごせます。しかし旅行の場合、着替えを持っていなければ、旅行の最終日までそれを身につけなければなりません。全日程が悪天候だった場合、着替えも全部汚れてしまうようなことも考えられます。

 特に靴やバッグなどは替えがない場合が多く、濡れた靴を履き続けるのは不快なものです。泥水の水たまりで転倒してしまい、バッグの中にまで泥水が浸入し、荷物まで全部泥だらけになったという例も実際にあります。

 旅行では多くの人がデジカメやスマホで写真撮影をしますが、これらのデジタル機器の浸水による故障も雨天リスクの一つと言えます。

 このように、雨天によるリスクにはさまざまなものがあります。埼玉県は雨が少ないといっても、他県と比較してわずかに少ない程度です。屋久島のような雨の多い地域に行く旅行者の多くは万全の雨対策をします。逆に埼玉のような雨の少ない地域へ行く旅行者は、どうしても雨天対策がおろそかになりがちです。埼玉県の旅行スポットは屋外のものが多く、アウトドアアクティビティも充実しています。また旅程にハイキングコースを組み入れる場合も多いでしょう。そのような場合は万全の雨天対策を取るべきです。

 

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