伊丹-福島路線を乗継便航空券で現金5000円または共通利用券
福島県観光交流局主催の大盤振る舞いのキャンペーン
2022年6月6日から始まりました、「福島空港乗継キャンペーン」を紹介します。
6月はゴールデンウィークと夏休みに挟まれた端境期ということもあり、おおくの航空会社・ホテルなどがキャンペーンラッシュが続いています。
今回紹介する「福島空港乗継キャンペーン」は、福島県観光交流局主催のキャンペーンです。
福島県観光交流局とは、福島県庁の部局の一つです。福島県観光局内には、観光交流課、空港交流課、県産品振興戦略課の三課がありますが、今回のキャンペーンは航空交流課主催のものです。
キャンペーンについて簡単に説明しますと、該当日・該当区間の航空券、つまり「eチケットお客様控え」等を福島空港1Fのキャンペーン専用カウンターで提示するだけで、5000円の現金またはクーポンがもらえるという概要です。
なぜ今回、このような大判振る舞いにさえ見えるキャンペーンをしたのかというと、理由は二つあります。
一つ目の理由は来年(令和5年)で福島空港開港30周年というメモリアルで、それに合わせてキャンペーンを計画したということです。
もう一つの理由は次の通りです。今回のキャンペーンを主催する、福島県観光交流局航空交流課の主目的は、福島空港の利用を促進することです。
自治体の一部門ですから、根底には観光客の増加、ビジネスでの往来などによる県経済の活性化があります。
日本国内には97か所の空港があり、その内、東北だけでも7か所の空港があります。空港同士の利用客の取り合いのような状況になっています。
そうした状況の中、福島空港の定期便は2022年現在、伊丹-福島と新千歳-福島という2路線しかないのですから、福島空港の路線で最も主要である、伊丹-福島路線の利用を最優先に増やしたいという県側の思惑があります。
既に実施している福島県観光交流局航空交流課の施策として、5名以上参加の団体旅行に対し、旅行会社に10万円を上限とする助成金を出すといったものなどがあります。
しかし、現在飛行機を使う主な乗客は個人客の時代ですので、この施策が、それほど大きな流れになるとは思えません。もっと福島空港の利用を飛躍的に拡大するには個人を対象にする必要がありました。
伊丹-福島路線のみを対象とした場合、この路線を使う対象客は関西近郊または福島近郊に限定されました。その場合、競合路線として関空-仙台やピーチ、ジェットスターの関空成田、伊丹-羽田、関空-羽田などの空路と、プラス電車、レンタカーなどの陸路という組み合わせが考えられます。
このような競合路線に伊丹-福島の需要は大幅に削られていると考えられています。
今回のキャンペーンの対象を伊丹乗継便限定としたのは、搭乗客の対象を関西ではなく、九州、四国、山陰にまで広げるためです。
伊丹空港は関西国際空港に比べ乗り継ぎがしやすいというメリットがあります。
また九州は福岡空港、長崎空港・大分空港・宮崎空港・鹿児島空港の5路線、四国は高知空港・松山空港の2路線、出雲空港・萩石見空港・隠岐空港の3路線で、計10路線あり、対象エリアがかなり広がります。
旅行での航空機利用は、ビジネスや帰省とは違い、どうしてもその場所に行かなければならないというものでもないので、乗継利用は敬遠されてしまいがちです。
旅行利用に限っても、上記の九州、四国、山陰エリアの人が、東の方へ旅行に行く場合、東京止まりがほとんどです。
もし旅行計画で、東北地方のどこかの都市と、関東のどこかの都市の二つの候補があったとします。必ずしも観光地として行きたいというわけではなくても、乗継の不便さ、金銭面、時間面などから関東の方を選ぶケースが多いのです。
今回の「福島空港乗継キャンペーン」はそのような傾向に一石を投じることになるのでしょうか。
もちろん、もともと該当の乗継便を使う予定だった人は、このキャンペーンを利用しない手はありません。もともと買う予定だったチケットを見せるだけで5000円が手に入るのですから、まったくの棚から牡丹餅です。
しかし、それだけでは福島県観光交流局航空交流課にとっては、本来の目的つまり福島空港利用の拡大というミッションを全く達せられません。
このキャンペーンのホームページで例を挙げている福岡-.伊丹-福島を使って、次項でシミュレーションしてみましょう。
普通運賃と国内格安航空券による福岡空港-伊丹空港-福島空港のシミュレーション
福岡-伊丹-福島の普通運賃の場合(乗継便)
福岡-伊丹 普通運賃(例:ANAフレックス 6月30日)26,250円
伊丹-福島 同上 35,140円
合計 61,390円
福岡-伊丹-福島の国内格安航空券の場合(乗継便)
福岡-伊丹 国内格安航空券(例:C社 IBEX変更不可 6月30日)10,950円
伊丹-福島 同上 16,340円
合計 27,290円
福岡-羽田の普通運賃の場合(直行便)
福岡-羽田 普通運賃(例:ANAフレックス 6月30日)43,580円
合計43,580円
福岡‐羽田の国内格安航空券の場合(直行便)
福岡-羽田 国内格安航空券(例:C社 SFJ変更不可 6月30日)10,950円
合計9,880円
上記の比較からわかることは、普通運賃を比較した場合、羽田直行便の方が17,810円安く、国内格安航空券を比較した場合、17,410円羽田直行便の方が安いです。
つまり、キャンペーンで5000円もらえたとしても、12,000円程度羽田直行便の方が価格的な優位性があるのです。
下記に国内格安航空券を扱っている旅行会社をいくつかリンクしておきますので、いろいろと比較してみてください。
「福島空港乗継キャンペーン」の詳細
期間:2022年6月6日から8月31日まで
対象人数:先着1万名
対象:国内の空港から伊丹空港で乗り継ぎ、福島空港へ行く(またはその逆区間)の「eチケットお客様控え」などを持っている方。
キャンペーンの商品:現金5000円または福岡空港ターミナル内の飲食店、物販店で利用できる共通利用券5000円分。
受け取り方法:航空券利用当日、福島空港ターミナルビル1Fのキャンペーン専用カウンターで、該当のeチケットお客様控えなどを提示し、受領書に氏名等を記載すると、その場で受け取ることができます。
ちなみにこのキャンペーンは国内格安航空券を購入した場合でももらうことができます。
国内格安航空券を買った場合、2つのパターンがあり、一つ目は旅行会社が顧客へ、航空会社の「eチケットお客様控え」をそのままメールやFAXなどで送ってくる場合です。この場合は、そのeチケットを福島空港でもらえばよいので問題ありません。
もうひとつ目のパターンは旅行会社から確認番号と予約番号を送ってくる場合です。この場合は航空会社のホームページにアクセスして、確認番号と氏名などを入力するなどして「eチケットお客様控え」を自分で簡単にプリントすることができます。
なお、いずれの場合も「eチケットお客様控え」は必ずしもプリントする必要はなく、スマホなどに画像を残しておけば問題ありません。