※記事内に広告が含まれています。

深谷テラス:長瀞旅行の途中で寄れる観光地

秩父鉄道を使って長瀞観光に行く場合、普通は直接長瀞駅へ

 埼玉県東部にお住まいの方が鉄道を使って、長瀞旅行に行く場合、一番多いのが熊谷駅で乗り替えて秩父鉄道に乗り長瀞に向かう行き方です。

 熊谷駅は在来線のみならず、新幹線の駅でもありますので、新潟県や群馬県などから埼玉県に来る人にとっては埼玉県の入り口のような駅になります。

 熊谷から秩父鉄道に乗り、長瀞駅まで行くのに約50分ほどで、料金は片道780円です。田園風景から山林へと変わっていく車窓ののどかな風景を見ながらの50分は思いのほか短く感じられます。長瀞旅行が目的の人の多くは、途中下車せずそのまま長瀞駅で降り立ちます。

長瀞への途中駅「ふかや花園」に2022年、3つの新観光地

 秩父鉄道で熊谷から長瀞に向かう途中にあるふかや花園駅は、熊谷から数え7つ目、長瀞から数えると6つ目の駅です。中間点と言ってもいいでしょう。

 それまで、この場所は農地が広がる変哲のない場所でした。この駅隣接の地域に「ふかや花園プレミアムアウトレット」「深谷テラス・パーク」「深谷テラス・ヤサイな仲間たちファーム」という3つの観光施設ができたのです。

 実はこれらの施設は開業が偶然重なったわけではなく、深谷市が2016年から計画していた環境拠点整備のプロジェクトとして計画され、秩父鉄道の「ふかや花園駅」とは、このプロジェクトに合わせて2018年に新設された新駅なのです。

 2022年5月28日「深谷テラス・パーク」が最も早くオープンし、その翌日「深谷テラス・ヤサイな仲間たちファーム」がオープンしました。この2つの施設は「深谷テラス」を二分する形で隣接しています。前者は深谷テラスパークエリアマネジメントが運営し、後者は株式会社キューピーが運営しています。そして三菱地所・サイモン株式会社運営の「ふかや花園プレミアムアウトレット」は2022年秋オープンの予定です。

熊谷からの秩父乗り換えについては以下リンクを参照ください。

長瀞へのアクセス1:熊谷から秩父鉄道で長瀞へ

深谷花園の観光施設と長瀞観光の共通点は

 深谷花園の観光拠点プロジェクトは本来、高速道路の花園インターチェンジ付近に大規模な観光拠点を作る目的で始められました。しかし、結果として駅直結の立地となり、貴重な電車で行ける大規模な観光地となりました。もちろん駐車場も整備され、インターチェンジからも遠くないので、自動車での観光にも便利です。

 歴史をさかのぼれば、秩父鉄道はもともと産業用途を念頭に開かれた鉄道ですが、長瀞駅まで鉄道を延長したのは、「長瀞」を観光地として着目し、観光産業を新たに生み出すという目的からだったのです。

 つまり、長瀞駅も「ふかや花園」駅と同様に観光のために作られた駅だったのです。この二つの観光地は、観光のエッセンスは違えど、成り立ちは似ているのです。

鉄道の旅は歩きの旅。だけどこのコースは歩行距離が短い

「長瀞」「ふかや花園」いずれも駅直結の旅行スポット

 鉄道の旅というとどのような旅を想像しますか。車窓からの景色を楽しんだり、地元の人の生活する姿を間近で感じたり、風情のある駅舎自体を眺めてるのも一興など、人によっていろいろあると思います。

 ひとつ、都市部への旅を除くと、鉄道の旅に一般的に言えることがあります。

 それは駅を降りてから観光地までの移動の手間がかかるということです。鉄道の駅から路線バスに乗り換えたり、タクシーに乗ったり、時には長い距離を歩かなければならないこともあります。

 健脚者にとっては、駅から観光地までのウォーキングは、それ自体楽しいものかもしれません。また、健康を気にする人にとっては適度な運動になるので、大歓迎という人もいるかもしれません。

 ただ。お年寄りや小さい子供のいる家族旅行など、できれば徒歩や乗り継ぎは最小限にしたいという人も多いでしょう。

 そういった面では、長瀞とふかや花園という2つの観光地は、どちらも駅から観光地までの距離が短く、安心して行くことができるという長所があります。

 埼玉県内から、長瀞旅行に行く人の大半は日帰りまたは一泊二日旅行です。その中には長瀞だけでもう一ヶ所行きたいと思う人も多いでしょう。

 長瀞の付近や秩父方面には良い観光地がたくさんあります。ただ、長瀞駅から長瀞岩畳のように歩いてすぐ着き、食事もショッピングもできるという観光地はまれです。日帰りで長瀞と秩父を両方見て回るというのは、かなりの強行軍です。そのため、日帰り鉄道の旅の場合は、長瀞以外に足を運ぶ人はまれです。

 それが、たとえ一泊二日旅行だとしても、電車で行った場合の選択肢は非常に狭いというのが実情です。長瀞駅周辺と、秩父駅周辺だけをまわるというのであれば問題ありませんが、それぞれじっくり見ようとすると時間がかかるものです。どうしても移動時間のロスが気になってしまいます。

このような状況の中新たに作られた、ふかや花園駅とそこからすぐ近くの観光拠点は、長瀞プラスワンの絶好の候補になり得ます。

ふかや花園の3つの観光地

 2022年新しくできた、あるいは2022年秋にできる予定の3つの観光地は、いずれも駅に隣接しているといっても良い場所にあります。なにしろ、建設予定地が先に決まり、それに合わせて駅ができたのですから、当然とも言えます。

3つの観光地は、深谷市が選定した別々の企業が運営していますので、全く別物とみるべきでしょう。

深谷テラス・パーク

 深谷テラス・パークは、深谷テラスの南半分を占める公園部分を指します。

日比谷花壇・バンブック・サンワックス・シンコースポーツの4社からなるジョイントベンチャー、深谷テラスパークエリアマネジメントが運営管理しています。大型の遊具や足元まで浸かれる大きな池があり、ここで子供が楽しめるスペースが広くとられています。

この施設単独での観光地としての要素は弱い感も受けますが、展望デッキやイベントスペースがあり、イベントやフラワー教室、スポーツ教室など体験型観光ができるようになっています。運営の4社からそれぞれ専属の社員が出向し、アイデアを出していますので、この恵まれた空間を生かし、今後観光地としての新しい要素を取り入れていくと思われます。

深谷テラス・ヤサイな仲間たちファーム

 運営するキューピー株式会社は、マヨネーズ・ドレッシングの国内最大手で、新たにはじめた社内公募から生まれたアイデアが、ちょうど深谷市のプロジェクトと合致し、採用されることになったのです。

 元々、深谷テラスの「パーク」に対し、「ファーム」というシンプルな名称を予定されていましたが、キューピーの企業キャラクターである「ヤサイな仲間たち」を冠しました。キューピーは野菜を中心とした食育活動に力を入れており、深谷市は県内一の野菜生産地域ですので、両者の思惑が見事にマッチングされました。

 体験型農園・料理教室・レストラン・マルシェなど、全て野菜を軸としたテーマになっており、体験型観光地としては非常にまとまりあるコンセプトになっています。

ふかや花園プレミアムアウトレット

運営する三菱地所・サイモン株式会社はアウトレットモールブームの火付け役ともいっていい、御殿場アウトレットを運営する会社です。御殿場アウトレットは広大な敷地と富士山をバックにした広大なロケーションは国内外から観光客に絶大な支持があります。その会社が2022年秋、新たなアウトレットをオープンさせるのです。

三菱地所サイモンは何を見据えているのか

アウトレットモールはもともと、ブランド品を手ごろな値段で買えることを武器に、大都市圏から人を呼び込むことを前提にしたビジネスモデルです。テナント目線で考えると、粗利が少ないアウトレット品で利益を出すには、大都市の繁華街ではなく、テナント料が安い郊外に出店する必要があります。郊外でありながら集客するには大都市からのアクセス、移動時間、周囲の環境の良さなどが求められました。1990年代が日本でのアウトレットモールの黎明期にあたりますが、当初は東京、大阪、横浜といった大都市郊外に作られるのがほとんどでした。軽井沢のアウトレットは長野県ですが、メインの商圏は完全に首都圏で間違いありません。

アウトレットモール開発の最大手の一角である、三菱地所サイモン株式会社は当初より視点が異なっていました。

三菱地所サイモンのアウトレットモール開発の沿革を追ってみましょう。

 

  • 2000年 御殿場・りんくう
  • 2003年 佐野
  • 2004年 鳥栖
  • 2005年 土岐
  • 2007年 神戸三田
  • 2008年 仙台泉
  • 2009年 あみ
  • 2013年 酒々井
  • そして2022年 ふかや花園です。

これらの場所の共通点は、必ず旅行者の移動する導線上にあるのです。その土地自体は観光地としては全く有名ではありません。三菱地所サイモンの土地選定の基準は、大都市からの集客や、その土地そのもののブランド力よりも優先して、旅行とりわけバスツアーの要衝を選んでいるのです。

西武グループが運営する軽井沢アウトレットや那須アウトレットと比べるとわかりやすいと思います。軽井沢も那須も大都市から近いとは言えませんが、どちらも土地そのものに知名度やブランド力があります。三菱地所サイモンの場合は、土地のブランド力関係なしに、ひたすらに旅行者を立ち寄らせることを目的の立地としか思えないのです。

海外からのインバウンド旅行者の訪日後のルートの大多数は、ゴールデンルートと呼ばれる成田ー東京ー大阪ー関空のルートです。上記のアウトレットモールのうち、酒々井・御殿場・りんくうはぴったりとこのルートに該当します。ゴールデンルートのバリエーションとして、中央道を通り、富士吉田口を観光するというのも定番中の定番になっています。土岐アウトレットモールは、ゴールデンルートから富士山5合目を観光して、ふたたびゴールデンルートに戻るさいの途中にあるのです。

佐野アウトレットは、関東から自動車やバスで東北旅行・日光旅行に行く際の通過点で、鳥栖アウトレットは福岡から長崎方面、別府方面、九州南部に行く高速の収束地点です。いずれのルートも、国内の旅行者のみならず、インバウンドバスツアーの主要ルートになっているのです。

あみアウトレットは一見わかりずらいですが、次のように説明がつきます。首都圏発バスツアーで、常磐道を通り国営ひたちなか海浜公園や水戸偕楽園を目的地とするコースは人気も高く、数多くあります。常磐道は交通量も比較的少なく、効率的に移動できるため旅行会社にとっても、旅行客にとっても魅力的です。ところが、あみアウトレットができるまでは、目的地までの通過点にあたる茨城県南部付近に、適当な立寄先が少なかったのです。

このことは、三菱地所サイモンが他のデベロッパーと一線を画す顕著な例と言えるでしょう。

そしてここで、三菱地所サイモンが手掛ける最新のアウトレット「ふかや花園プレミアムアウトレット」の目指す先は何なのかという問題になります。

ふかや花園は確かに首都圏からの集客が見込める条件を備えています。関越道花園インターチェンジのすぐ近くにあり、首都圏からのアクセスは良いと言えます。しかし首都圏にアウトレットモールやショッピングセンターが乱立する現在、それだけではインパクトが弱すぎます。

三菱地所サイモンの判断基準については、前述の通りです。ここに「ふかや花園プレミアムアウトレット」は秩父鉄道「ふかや花園」駅に隣接するという要素が加わります。三菱地所サイモンの過去のアウトレットに鉄道駅隣接のアウトレットはありませんでした。秩父鉄道は、長瀞・秩父という埼玉県最大の観光地へと繋がります。

FIT主流の時代と長瀞・秩父旅行

実は先に挙げたゴールデンルート、成田-東京ー大阪ー関空という大型バスでのインバウンド旅行は過去のものになりつつあります。私は数年前まで、旅行会社で中国からのインバウンド旅行も多少手掛けていました。お客様の生の声を聞くと、必ずしもインバウンド客は好き好んでゴールデンルートを選んでいるわけではないということです。このルートはバス観光のルートとしてはかなりの長距離で、数日の日程ではかなりの強行軍となります。観光地をゆっくり見て回るなどということはできず、ほとんどがバスの移動時間です。更に旅行会社の都合で、旅行会社にリベートのある土産物店、宝石店、電気店などは必ず組み込まれるため、ますます観光時間が短くなります。私の会社で扱ったインバウンド旅行は、バスツアーはほとんどなく、比較的経済的に豊かな層の個人旅行をサポートするような仕事がメインでした。そこでは、さまざまなお客様の要望が聞けました。

いくつか例を挙げると、お寺に泊まり込みで修業をしたい。茶道体験をしたい。魚釣りをしたい。製薬会社を見学したい。美容室を見学したい。などなど、人によってニーズは千差万別です。一部の要望については実現できましたが、採算が合わなかったり、希望の施設が見つからなかったりで実現しなかったものの方が多かったと思います。

私が長瀞・秩父旅行を推薦する理由の一つに、体験型旅行・アクティビティといった要素が多分に含まれていることもあります。ラフティング、パラグライダー、キャンプ、フルーツ狩り、寺社巡りなど挙げればきりがありません。ただ個人の要望と、それらの旅行サービスがマッチングできるかはわかりません。

本来個人旅行に旅行会社は不要であると思います。完全な情報さえ手に入れることができれば、全て旅行者自身が自ら手配することができるからです。旅行者本人の真のニーズは本人以外知ることができません。旅行会社は、旅行会社の都合を押し付けるのではなく、旅行者が本当に知りたい情報だけを発信するというのが理想だと思います。

言うは易く行うは難しで、実際にそのような旅行会社は見たことがありません。情報を発信するだけでは経営がなりたたないはずですから。当サイト「小さな旅の情報室スノーステージ」では、情報を発信することによって、旅行会社とは違った形で、旅行者の手助けをできないか考えています。現時点では、広告収入も全く無く、狂気の沙汰のような気もしますが、とりあえず続けていきたいと思っています。

話は大幅に脱線しましたが、ここで言いたいのは、国内旅行、インバウンド旅行問わず、FIT・体験型・ワーケーションといった潮流は、長瀞秩父を中心とする埼玉旅行を後押しするものだと思います。流入する旅行者が増えれば、そこに新たなビジネスが誕生します。旅行会社・個人を問わず有益な情報を発信すれば、違った1ページが開けるような気がします。

ふかや花園の3施設の一つ「ヤサイな仲間たちファーム」では、専属の担当者がブログで情報発信をしています。その姿勢は、純粋に旅行者の役に立ちたいという熱意を感じられます。埼玉県の宿泊施設や観光関連施設も、それぞれにすばらしい情報発信をしています。ただ、それらの情報が、必ずしもその情報を必要としている人に届いているかどうかはわかりません。

埼玉県飯能市にメッツァ・ムーミンバレーパーク、深谷市に深谷テラス・パーク、深谷テラス・ふかや花園プレミアムアウトレットという大きな観光地が立て続けにできました。バスツアーのコースを考えているとよくあるのですが、新しい観光地が完成することによって、新たなコースが見えてくるということがあります。

個人旅行についても同じだと思います。これらの新しい観光地に既存の観光地を組み合わせることによって、自分の興味や好みにあった、充実した旅のコースを発見できるかもしれません。まだ日が浅いため、十分な情報があるとは言えない部分もありますし、コロナ禍により、旅行会社も積極的にバスツアーを組めなくなったという不運もあると思います。

しかし逆に考えると、これは今まで旅行会社に計画をまかせきりだった人にとってチャンスかもしれません。自分の本当に興味のあることを見つめなおし、自分で情報を集め、自分だけの旅の計画を考えるには最適の環境です。計画を立てるだけでも面白いものです。旅行を計画してみると、実際にはなにかしら上手くいかない部分がでてくるものです。旅行会社の作ったプランは、回答の一つかもしれませんが、回答は一つだけとは限りません。お時間があれば、ぜひ面白いプランを考えてみてください。

関連記事

深谷テラス 深谷テラス―長瀞旅行の寄り道に最適

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA