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長瀞のライン下り

長瀞のライン下りとライン川

 長瀞には「長瀞ラインくだり」「荒川ライン下り」「長瀞舟下り」という3つの業者が、いわゆるライン下りを行なっています。 私は恥ずかしながら、ライン下りという用語について深く考えたことがありませんでした。 ゴムボートで急流を下る行為をラフティングと呼ぶように、木造の小舟で渓谷を下る行為をライン下りと呼ぶのだと単純に認識していました。

 この記事を書くにあたってインターネットでちょっと調べてみると、ライン下りの「ライン」とは一般的によく使う「線」や「経路」の意味ではなく、ドイツを縦断する大河「ライン川」であることがわかりました。ライン川の中上流部は確かに美しい渓谷で、世界遺産にも登録され、川を下るツアーで有名です。しかし、それは小舟ではなく、クルーズ船でゆったりと景観を楽しむというスタイルです。長瀞のライン下りは、ライン川のクルーズツアーのイメージとは程遠いのです。

 長瀞に限らず、鬼怒川や天竜川など、日本各地でライン下りの名称は使われていますが、いずれのライン下りもドイツのライン川のような川幅の広い流域を悠々と巡るというものではありません。

 ライン川は古代ローマ時代から国境の役割を果たし、河岸には多くの城や軍事施設が建てられました。その一部は現在まで残り、ライン川クルーズを彩る観光資源になっているのです。実は長瀞を流れる荒川も、中世までは軍事的意義は大きく、荒川流域付近の高台にはその城跡も残っています。

 しかし、長瀞ライン下りのコース上には歴史的建造物は全く見られず、太古の自然景観のみが続いているのです。 ここで私はあえて「太古の自然景観」という言葉を使いました。自然景観はそうそう変化するものではありません。紀元前1世紀、カエサルがガリア遠征で渡河したといわれるライン川の景観は、現在のものとそう変わってはいないかもしれません。

 長瀞のライン下りで見ることができる、両岸ので見られる奇岩群は、人類の歴史数千年という単位では比らべられない程の長い年月をかけて形成されたものなのです。

 長瀞で見られる地層は、地質学の研究によって古生代(2億から3億年前)のものであると判明し、この地層は秩父層と名づけられました。このような地層は本来地表で見ることができるものではなく、地底奥底に眠る地層が隆起し、長瀞に表出したと言われています。ある意味、長瀞ライン下りで見られる景観は地底旅行でもしない限り見れないような貴重なものなのです。さてこの辺で本題に入りましょう。

長瀞のライン下り3社データ

長瀞でライン下りを行っているのは、

  • 秩父鉄道「長瀞ラインくだり」
  • 株式会社荒川ライン下り「荒川ライン下り」
  • 荒川レジャー開発「長瀞舟下り」

の3社です。

秩父鉄道「長瀞ラインくだり」

 秩父鉄道株式会社が運営していますので、3つのライン下りの中の最大手ということができます。

団体バスが停まれる駐車場があることから、旅行会社との提携も多く、団体客も多い印象です。

冬季には、こたつを乗せた船を流れが穏やかな水域を巡遊する、「ぽかぽかこたつ舟」を運行しています。ペットの同乗はできません。受付で乗船券を購入します。

営業時間 9:00-16:00

1-2月はこたつ舟を運航

支払方法 現金 paypay

受付場所 下記の4カ所

 秩父鉄道「長瀞ラインくだり」受付場所(グーグルマップ)

コース名Aコース
区間親鼻橋ー長瀞岩畳
料金大人1800円 小人900円(3歳~小学生)
所要時間20~30分
コース名Bコース
区間長瀞岩畳ー高砂橋
料金大人1800円 小人900円(3歳~小学生)
所要時間20~30分

株式会社荒川ライン下り「荒川ライン下り」

 株式会社荒川ライン下りという会社は、キャンプ場などを経営しているサン・グリーン株式会社のグループ企業です。 長瀞のキャンプ場、ウォーターパーク長瀞は、この親会社サン・グリーン株式会社です。長瀞駅のすぐ近くに受付所があり、直接申し込みできます。

  小型ペットとの同伴OKです(大型犬は不可)。その場合、ペットは専用のケージに入れるという条件です。

営業時間 9:00-16:00

1-2月はこたつ舟を運航

支払方法 現金

受付場所 荒川ライン下り案内所(グーグルマップ)

コース名チャレンジコース
区間ウォーターパーク長瀞ー長瀞岩畳
料金大人1800円 小人900円(3歳~小学生)
所要時間25~35分
コース名ロマンチックコース
区間長瀞岩畳―高砂橋
料金大人1800円 小人900円(3歳~小学生)
所要時間25~35分
コース名全長コース
区間ウォーターパーク長瀞ー高砂橋
料金大人3300円 小人1600円(3歳~小学生)
所要時間50~60分

荒川レジャー開発「長瀞舟下り」

 荒川レジャー開発「長瀞舟下り」の会社は、宝登山参道の入り口付近にあり、申込受付もここにあります。長瀞駅からは徒歩5分程です。宝登山神社、宝登山ロープウェイ方面の観光もする人には便利な場所にあります。

営業時間 8:30〜16:30

運航時間 9:00〜16:00

支払方法 現金・クレジットカード(VISA・Master・ダイナース)

運航期間 3月上旬〜12月上旬

コース名6kmコース
区間親鼻橋上流ー高砂橋
料金大人3300円 小人1600円(3歳~小学生)
所要時間50~60分
コース名3km Aコース
区間親鼻橋上流ー長瀞岩畳
料金大人1800円 小人900円(3歳~小学生)
所要時間25~30分
コース名3km Bコース
区間長瀞岩畳―高砂橋
料金大人1800円 小人900円(3歳~小学生)
所要時間25~30分

各社共通:長瀞のライン下りに乗るまでの手順

1.(車で長瀞に来た場合)無料駐車場に車を停める。

図1:ライン下り3社の受付場所(出典:国土地理院・編集:Snowstage)

 各社の受付所には駐車場があります。利用時間内は、普通自動車であれば無料です。

2.受付所で申込み

 長瀞駅付近にライン下り各社の受付窓口はあります。

3.マイクロバスで出発地点に移動

 申込みした各社受付前からマイクロバスの送迎があります。

4.救命胴衣を着用

5.乗船

各社共通:長瀞ライン下り終了後の流れ

1.舟を降り、救命胴衣を返却

2.各社のマイクロバスに乗る

3.長瀞の受付まで送迎、解散

 ゴール地点が長瀞岩畳の場合は、現地解散となります。

ドロサツ!!

長瀞ライン下り3社比較:どの会社を選べばよいか

コースの長さと所要時間について

 3社とも長瀞岩畳を終点とする上流部コースと長瀞岩畳を出発点とし、高砂橋を終点とする下流部コースがあります。上流部は比較的流れが速く、多少のスリル感を味わえるコースです。下流部は比較的流れが遅く、ゆったりと景観を楽しめます。

 この両方を一気に走破するロングコースについては、元々全社実施していました。2022年現在、秩父鉄道「長瀞ラインくだり」のロングコースのみ休止中です。そのため、1時間程のロングコースを希望の場合は、「荒川ライン下り」または「長瀞舟下り」を選んでください。

 上流部コースについては、スタート地点が各社違います。そのため、コースの長さに多少違いがあります。しかし、親鼻橋以降は全く同じです。長瀞ライン下りの核心部といえる部分は、親鼻橋以降ですので、長さについては、さほど気にしなくても良いと思います。

 所要時間については、上流部コースは距離の違いによって、所要時間も若干異なりますが、それほど違いはありません。むしろ、川の流れの速さによって、所要時間は大きく変わります。増水時は流れが早くなり、所要時間は大幅に短くなり、渇水時にはその逆になります。

船頭とガイドについて

 乗船中は船頭がガイドを兼ねるのですが、この点は長瀞の各社ともに評判が良く、旅行者からの悪い評判は、ほとんど聞いたことがありません。どの会社を選んでも安心と言えるでしょう。

受付までのアクセス

 車で長瀞に来る場合、3社とも受付所のすぐそばに無料駐車場があります。そこからスタート地点、あるいはゴール地点へ無料マイクロバスの送迎があります。長瀞岩畳がゴール地点となる上流部コースについては、現地解散となるため、そこから車を取りに戻る必要があります。「荒川ライン下り」と秩父鉄道「長瀞ラインくだり」の駐車場は7分程、そこから3分程で「長瀞舟下り」の駐車場です。

 秩父鉄道でくる場合、「荒川ライン下り」と秩父鉄道「長瀞ラインくだり」は長瀞駅を出てすぐです。「長瀞舟下り」の受付は、そこから3分程歩きます。

 アクセス面での差は、この3分程の距離だけです。付け加えるなら、秩父鉄道「長瀞ラインくだり」の駐車場は非常に大きいため、車何台かでグループ旅行のような場合は、秩父鉄道「長瀞ラインくだり」が安心です。

その他の判断材料

 基本的には、どの会社を選んでも実際にはたいした違いはありません。あとは個人的な心情の部分になると思います。

 秩父鉄道「長瀞ラインくだり」は大手でもっとも利用者も多いため、他の2社のおすすめポイントも上げておきます。

 「荒川ライン下り」はサン・グリーン株式会社という親会社があり、秩父・長瀞地域では、「長瀞ウォーターパーク」「満願グリーンオートキャンプ場」という2つのアウトドア施設を経営しています。いずれもペットOKの施設です。アウトドアやペット好きの方への理解もあるため、そのような方は「荒川ライン下り」を利用すると良いかもしれません。

 「長瀞舟下り」は他の2社とは少し離れた場所にあります。長瀞駅周辺は2つのエリアにわけることができます。国道を挟み、長瀞岩畳商店街エリアと宝登山参道エリアの2つです。「長瀞舟下り」は後者に属します。宝登山参道エリアには、宝登山神社、ロープウェイ、長瀞花の里などがあり魅力的なエリアです。宝登山参道エリアをひいきにしている方は、「長瀞舟下り」を使うと話も弾むと思います。また、「長瀞舟下り」では一艘貸のチャーター舟もできるなど、何かと融通が利く印象ですので、何か特別な希望をお持ちの人は、ここに相談してみるとよいかもしれません。

長瀞で最もおすすめの旅館:長生館

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