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長瀞・秩父間を走る蒸気機関車:SLパレオエクスプレス

長瀞旅行・秩父旅行の看板 SLパレオエクスプレス

 長瀞旅行・秩父旅行を2つの旅行商品と見た場合、他の観光地と差別化できる観光資源、特に看板となる観光資源は何か、と考えてみるとそれぞれにあることがわかります。

 寺社仏閣や自然景観といったものは観光資源にはなりますが、多くの観光地に類するものがあるからです。寺社仏閣や自然景観は相当特徴がない限り看板とまでは言えません。

 長瀞岩畳とそれを使ったライン下りは十分看板といえるでしょう。秩父夜祭も他の祭りとは一線を画す特徴的な祭りで、これは秩父旅行の看板と言えると思います。

 そうした中、SLパレオエクスプレスは長瀞旅行、秩父旅行双方にとって看板の観光資源といえるものです。全国の観光地を見渡してもSL運行している観光地は数えるほどです。

 長瀞、秩父地方特有で他の観光地にないものは、さらにもう一つあって、太古の地層が地表に現れた露頭と呼ばれる地形や、それらで採取された化石群などです。

 化石群の中でも注目すべきは、体長2mほどの大型哺乳類「パレオパラドキシア」が6体も発見されたことです。世界でもパレオパラドキシアの化石はそう多くはありません。それをこの地方にある2つの博物館で見られるのです。

 SLパレオエクスプレスの名前は、この謎の哺乳類パレオパラドキシアから拝借したものなのです。この命名は双方にとってメリットがあります。パレオパラドキシア側からみるとSL運行によって、知名度が上がり思い出してもらえる機会が増えます。

 一方、SLパレオエクスプレス側にとっても非常に有益です。現存しない太古の生物の名前を冠することによって、太古の地層の中を走るSLというイメージを持たせることができます。

 蒸気機関車は世界中で使われることはほとんどなくなりました。現代に置いては、地下から採れる天然の産物、石炭を焚べて走る蒸気機関車は非常にレアな乗り物なのです。

 宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」やアニメ「銀河鉄道999」は星空の中を走るSLという夢のようなイメージから人気を博しました。

 銀河鉄道というのは現代のテクノロジーでも夢物語ですが、SLパレオエクスプレスは、この秩父・長瀞という世界でも稀な地層をもつ土地を現実に走っているのです。ジオパークの中を走るSLなどというものは、世界中見渡してもここしかありません。

 SLパレオエクスプレスという名前は、秩父旅行、長瀞旅行に共通するイメージを見事にSLに結びつけた、素晴らしい命名だと思います。

SLパレオエクスプレスの車両

 SLパレオエクスプレスはC58(シゴハチ)と呼ばれる型式の蒸気機関車です。車番はC58363で、戦時中の1944年に製造されたあと、さまざまな変遷を経て秩父鉄道で使われるようになりました。

 1944年から1972年までは主に東北地方で運用され、一旦引退後は埼玉県鴻巣市の吹上小学校に展示されていました。そして1988年さいたま博覧会に合わせて、秩父鉄道で復活したのです。

SLパレオエクスプレスの運行情報

 2022年現在、SLパレオエクスプレスは以下の通り3月19日から12月4日期間の該当日、合計101日、1日1往復の運行です。

2022年3月 3/19以降の全ての土日祝日+3/31(木)

2022年4月 全ての土日祝日+4/1(金)

2022年5月 全ての土日祝日+5/27(金)

2022年6月 全ての土日祝日+6/3(金)

2022年7月 全ての土日祝日+7/20(水)、7/22(金)、7/29(金)

2022年8月 全ての土日祝日+全ての金曜日+8/15(月)、ただし8/27(土)は貸切運転のため、一般予約できません。

2022年9月 9/10,9/11を除く全ての土日祝日

2022年10月 全ての土日祝日

2022年11月 全ての土日祝日+11/4(金)+11/14(月)+11/18(金)+11/25(金)

2022年12月 12/3(土)+12/4(日)の計2日間

停車駅は急行と同じ8駅で、始発熊谷駅、2.武川駅、3.寄居駅、4.長瀞駅、5.皆野駅、6.秩父駅、7.御花畑駅、8.三峰口です。

 平日と土日祝日は微妙にダイヤが異なります。搭乗者だけではなく、SLを見たい人にとっても有用な情報になると思いますので、長くなりますが全停車駅の出発時刻と到着時刻を以下に羅列します。

SLパレオエクスプレス 土日祝日下りダイヤ

  • 熊谷10:10発
  • 武川10:31着 10:33発
  • 寄居10:51着 11:00発
  • 長瀞11:26着 11:37発
  • 皆野11:49着 11:50発
  • 秩父12:07着 12:15発
  • 御花畑12:18着 12:19発
  • 終点三峰口12:50着

SLパレオエクスプレス 土日祝日上りダイヤ

  • 三峰口14:03発
  • 御花畑14:30着 14:31発
  • 秩父14:36発 14:36着
  • 皆野14:53着 14:55発
  • 長瀞15:05着 15:13発
  • 寄居15:37着 15:39発
  • 武川15:56着 15:58発
  • 終点熊谷16:18着

SLパレオエクスプレス 平日下りダイヤ

  • 熊谷10:12発
  • 武川10:33着 10:34発
  • 寄居10:52着 10:59着
  • 長瀞11:25着 11:32発
  • 皆野11:44着 11:45発
  • 秩父12:03着 12:11発
  • 御花畑12:13着 12:15発
  • 三峰口12:45着

SLパレオエクスプレス 平日上りダイヤ

  • 三峰口14:00発
  • 御花畑14:26着 14:27発
  • 秩父14:30着 14:32発
  • 皆野14:49着 14:50発
  • 長瀞15:00着 15:10発
  • 寄居15:34着 15:41発
  • 武川15:58着 16:00発
  • 終点熊谷16:20着

 以上が秩父鉄道SLパレオエクスプレスの2022年度ダイヤです。上記ダイヤの停車時間にも着目してください。停車時間は土日祝日においては上り下りとも長瀞駅が最も長く、11〜13分停車します。

 平日の下りダイヤは秩父駅が8分停車で一番長いものの、長瀞駅も7分停車で2番目に長いのです。平日の上りダイヤは秩父駅が2分しか停車しないのに対して、長瀞駅は10分停車します。

 このことは何を意味するかというと、運営会社の秩父鉄道は観光資源としてのSLパレオエクスプレスの中心は長瀞駅であると考えているということです。

 秩父駅は秩父旅行の中心駅ではあるものの、秩父市の中心駅でもあり、一般の生活する方々やビジネスなどでも利用する駅です。一方長瀞駅は旅行・観光に特化したと言っても過言ではないほど旅行者、観光者の比率が高い駅です。

 SLパレオエクスプレスは、その列車の乗客だけを意識した観光列車ではありません。SLパレオエクスプレスが駅に停車する姿や、長瀞、秩父の風景の中を走り抜ける姿そのものが観光資源なのです。

 土日祝日のSLパレオエクスプレス運行日に長瀞駅にいれば、11:26〜11:37と15:05〜15:13の2回合計で、最大24分もSLパレオエクスプレスを眺めることができます。これは土日祝日に長瀞駅周辺を観光プランを立てる際に、頭に入れておきたいことです。

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SLパレオエクスプレスの料金と買い方

SLパレオエクスプレスの料金

 SLパレオエクスプレスの料金は、通常の乗車券の料金に加え、SL指定席券740円(大人・小児同額)です。例えば大人1名で熊谷から長瀞へ行く場合、熊谷から長瀞の乗車券は780円、SL指定席券740円で片道合計で1520円となります。

SLパレオエクスプレスのチケットの買い方

 SLパレオエクスプレスは、必ず事前予約が必要です。事前予約無しで、駅で直接買うことはできません。事前予約は運転日の1ヶ月前から当日の発車時刻30分前までです。事前予約は「秩父鉄道SL予約システム」からできます。

以下のページでSLパレオエクスプレスの予約方法は詳しく解説します。

SLパレオエクスプレスの予約方法

 ここから予約すると、予約番号がもらえます。乗車日当日、この予約番号を乗車駅の窓口に伝え、SL指定席券を購入します。SL指定席券は、窓口での現金払いでしかできませんので、ご注意下さい。

SL指定席券の他、搭乗区間の乗車券も必要ですので、同時に購入するか、パスモ、スイカなどの交通系ICで改札を通ります。

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