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深谷テラス―長瀞旅行の寄り道に最適

 自動車で長瀞に旅行する際、花園インターチェンジを使うことが最も多いと思います。高速を降りてちょっと休憩や食事、またはちょっと観光したいというとき、おすすめなのが深谷テラスです。花園インターチェンジから長瀞までは30~40分ですので、ちょうど良い中継地点になります。花園インターチェンジの高速出口は国道140号線とのT字路です。ここを左に行くと長瀞方面ですが、深谷テラスは右へ向かいます。そして5分程で深谷テラスの北駐車場に到着します。

 一方、電車での長瀞旅行は秩父鉄道を使うことになります。羽生・熊谷方面から長瀞へ向かうと、その途中に「ふかや花園駅」があります。この駅は2018年にできた新駅です。ふかや花園駅を出て徒歩3分ほどで深谷テラスに到着します。車・電車ともにアクセスには申し分ありません。

深谷テラスとは何か

 深谷テラスは全て合わせると約38000平方メートルの広さの、南北に長い長方形の敷地です。サッカー場5〜6個分の広さです。テーマパークのように高い塀で囲われているわけではなく、誰でも自由に出入りできます。

 この大きな土地は公園部と農園部に分かれています。公園と農園の間に境界線があるわけでもなく,ここも自由に出入りが出来ます。

 南の公園部分は「深谷テラスパーク」、北の農園部分は「深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム」と呼ばれています。この2つは別の会社が運営していますので、実際には厳密な境界線が取り決めてあるはずですが、旅行客の目には全くどこが境目なのか見当がつきません。

深 谷テラスに足を踏み入れると、まず茶色の大きな三角屋根の建物が目に飛び込みます。もちろん深谷テラスの外からも秩父鉄道の車窓からも見え、すでに深谷花園のランドマーク的な存在といっても過言ではありません。

この建物が農園部分、つまり深谷テラスヤサイな仲間たちファームのメインとなる部分です。

深谷テラスパーク 滑り台
写真1 深谷テラスパーク 滑り台
深谷テラスパーク 滑り台とジャングルジム
写真2 深谷テラスパーク 滑り台とジャングルジム
深谷テラスパーク パノラマデッキ
写真3 深谷テラスパーク パノラマデッキ
深谷テラス 円形広場
写真4 深谷テラス 円形広場
深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム マルシェとレストラン
写真5 深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム マルシェとレストラン
深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム 体験農園
写真6 深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム 体験農園

 写真1から6をご覧下さい。深谷テラスは、南北に長い長方形の敷地を「深谷テラスパーク」と「深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム」で分け合っています。深谷テラスパークは写真1から4のように広大な広場を中心とした公園、深谷テラス ヤサイな仲間たちファームは写真6のような農園部分が大部分をしめ、写真3の中央に見える茶色の建物にマルシェ、レストラン、野菜教室などが入っています。デザインは斬新でおしゃれではありますが、観光地としては変哲もないように感じるかもしれません。

 マルシェとは農家で取れた野菜を持ち寄って直販する市場を指しますが、近年各地の道の駅でマルシェと称した施設が増えました。それはファーマーズマーケットなどとも呼ばれることがあります。大規模なものでは、群馬県川場の田園プラザという施設があります。5万平米という深谷テラスより少し広い敷地に地元でとれた野菜などの直販や食材を使ったレストラン、子供の遊具施設、フルーツ狩りや陶芸体験など充実した内容で、関東では人気の施設です。

 また農業体験を売りにした観光施設に、千葉県香取市の「THE FARM(ザ・ファーム)」があります。こちらは10万平米ですから、深谷テラスの2~3倍の面積で、体験農園・キャンプ場、グランピング、アスレチック、日帰り温泉などかなりの旅行コンテンツがあります。

 深谷テラスもコンセプトやデザイン性では引けを取らないとは思いますが、内容の充実度において、これらの観光地に深谷テラス単体では到底太刀打ちできそうにありません。ただ、深谷テラスには他にはない強みがいくつかあります。

深谷テラスの強み:交通の利便性とふかや花園プレミアムアウトレット

 深谷テラスは冒頭で紹介した通り、高速道路のインターチェンジ、鉄道駅双方から近くアクセス面では非常に恵まれています。また隣の敷地には現在建設中の「ふかや花園プレミアムアウトレット」が2022年秋オープンします。

 深谷テラスから徒歩三分の最寄り駅ふかや花園駅は2018年に開業した新駅です。この駅と深谷テラス、そして2022年秋に深谷テラスに隣接した広大な敷地にオープン予定のふかや花園プレミアムアウトレット、これらは全て深谷市の開発計画に基づいて造成されました。そもそもの計画からして、深谷テラス単独で、関東の強力なライバル観光地に挑むつもりではないのです。

ふかや花園駅から直結のふかや花園プレミアムアウトレット(建設中)
写真7 ふかや花園駅から直結のふかや花園プレミアムアウトレット(建設中)

写真7はふかや花園駅出口からとった写真です。ふかや花園駅の改札をでてからアウトレットまで続くバリアフリーの広い歩道が既に完成しています。

上の写真4でも深谷テラスの円形広場の奥の駐車場越しにふかや花園プレミアムアウトレットが見えています。写真4の駐車場はアウトレットの駐車場で、深谷テラスには138台駐車可能の北駐車場があります。

深谷テラス 北駐車場
写真8 深谷テラス 北駐車場

関越自動車道花園インターチェンジからこの写真8の深谷テラス北駐車場まで、6分程で到着します。

深谷テラス北駐車場からの入り口
写真9 深谷テラス北駐車場からの入り口

写真9 利便性という面では、深谷テラスパーク、深谷テラスヤサイな仲間たちファームともにバリアフリーに力を入れているという印象も受けました。写真8と写真9を見ていただけると車を降りてから入口まで全く段差が無いのがわかります。それだけではなく、この段差のない道が農園の中を通りメインの建物の中まで続きます。メインの建物の自動ドアの前には、車椅子の高さに合わせたインターホンがついています。

完全バリアフリーかどうかについては、私に専門知識が不足しているため明言できませんが、私が個人的に見た感じでは車いすでも問題無く観光できるようにに思いました。

深谷テラスと長瀞旅行

 前項で挙げた、ふかや花園プレミアムアウトレットとふかや花園駅と一体化した立地や、交通の利便性、バリアフリーなども深谷テラスの強みですが、更に重要な点は、ここが長瀞旅行の入り口であるという点です。長瀞は埼玉県有数の観光地です。長瀞旅行に行くには、深谷市花園はほとんどの場合必ず通過しなければならない関所のような場所に位置しています。

 当サイトでは埼玉県西部の観光地を、2つのエリアに分けて紹介してきました。一つは皆野町と寄居町を含める長瀞エリア、もう一つは秩父市と小鹿野町、横瀬町などの秩父エリアです。秩父鉄道は、この2つのエリアをつなぐ唯一の鉄道です。そして、関越自動車道の花園インターチェンジは、長瀞エリアに最も近いインターチェンジで、長瀞旅行の入り口とも言える場所にあります。

 深谷市の計画は、この長瀞旅行の入り口に、新しい駅を作り、アウトレットモールと深谷テラスという観光施設を作るというものだったのです。

 いままでは、埼玉県大里郡寄居町が長瀞旅行の入り口の役割を一手に担ってきました。花園インターチェンジは深谷市内ではありますが、北・南・西の三面が寄居町に囲まれた、寄居町の一部といっても良いような場所にあります。更に秩父鉄道・東武東上線・JR八高線という三つの鉄道が収束する交通の要衝です。寄居町自体も多くの観光資源を有していますが、それらは寄居駅から行くくには少し時間がかかります。

 そうした中、深谷テラスは長瀞旅行の入り口にできた、待望の駅直結型の観光地です。深谷テラスの4万平方メートル弱の敷地面積の半分近くが観光農園です。観光農園が駅前の好立地にあるということ自体、首都圏ではほとんどありません。

 長瀞、秩父も農業は主要産業の一つで、観光農園は多くありますが、ほとんどがフルーツ狩りです。また、長瀞旅行、秩父旅行に鉄道で行った場合、安心して子供を遊ばせることができる遊具のある公園が駅周辺では不足していました。深谷テラスは見事にその辺を補っています。さらに長瀞エリア、秩父エリアに一つも無かったアウトレットパークがついに2022年秋、深谷テラスの隣接地にオープンします。

これらの相互補完性は、意図したことなのか偶然なのかはわかりませんが、旅行者にとっては大きなメリットです。

kkday

深谷テラスの隠された実力

 深谷テラスは単独では観光地として、強力なライバル観光地に太刀打ちできないというようなことを上で書きました。それは、例えば遠隔地、北海道や九州などから飛行機で来て、深谷テラスを最終目的地とした旅行をするのはあまりにももの足りないからです。深谷テラスは隣接するアウトレットや長瀞、秩父旅行と連結することによって力を発揮します。だからといって深谷テラス単独の実力がないわけではありません。

 深谷テラスは不必要なアピールをしません。公式ホームページもシンプルで、園内にも余計なものはほとんどありません。遊具やプール滝、展望台などもありますが、それは敷地の南の端のほうに控えめに設置されています。

 目立った装飾や建造物を園内にたくさん配置したほうが、ニュースやSNSでも取り上げられやすくインスタ映えなどという言葉もあります。深谷テラスはそうしたアピールよりも、ただただ旅行者の居心地の良い空間を作ることにこだわったという印象があります。

 深谷テラスパークは日比谷花壇・バンブック・サンワックス・シンコースポーツの4社からなる、深谷テラスパークエリアマネジメントという会社が運営しています。一方深谷テラスヤサイな仲間たちファームはマヨネーズで有名なキューピー株式会社の運営です。

 深谷テラスをデザインには黒川紀章建築都市設計事務所がかかわっています。2007年に亡くなった世界的建築家黒川紀章が作った会社です。本人が亡くなった後も、福井県の恐竜博物館や六本木の国立新美術館など人気の高い観光施設を手掛けています。また深谷テラスヤサイな仲間たちファームのレストランメニューは国内外の数多くの受賞歴のある有名シェフ音羽和紀氏が監修しています。

 これほど数多くの有名企業、著名人が関わった旅行施設はそう多くはありません。さらに驚くことは、これらの企業、著名人は深谷テラスの表舞台に全くといっていいほど、名前を出さないことです。これだけの早々たるメンバーで築き上げた施設ですから、全てのデザインは洗練されており、レストランやマルシェなど各コンテンツのクオリティーは非常に高いものです。

 深谷テラスはメディアによる広告、宣伝の類もほとんど行われていません。それだけに旅行者に周知されるのは時間がかかるかもしれません。しかし、SNSなどでの反応を見る限り、人気観光地に転じるのも近い将来のような気もします。